Go to contents

原作で死んだ悪党がドラマでは復活、韓国ドラマ「殺し屋たちの店」

原作で死んだ悪党がドラマでは復活、韓国ドラマ「殺し屋たちの店」

Posted February. 20, 2024 08:44,   

Updated February. 20, 2024 08:44

한국어

悪党にも物語が必要だ。

叔父ジンマン(イ・ドンウク)が遺したオンライン兵器販売サイトのために殺し屋集団から命を狙われることになった主人公ジアン(キム・ヘジュン)。ジアンのサバイバルを描いたディズニープラスのドラマ「殺し屋たちの店」は、原作小説『殺人者のショッピングモール』(2020年)の世界を拡張し、悪党たちの物語をさらに豊かにした。悪党の緻密な脚色のおかげで、先月17日に公開されたドラマは4週間、韓国のディズニープラスTVショーで1位となった。日本、香港、台湾などアジア5ヵ国でトップ10に入った。原作もこの影響で、アラジン文学部門7位にランクインした。

特に、原作ではすでに死んでいる悪党「ベイル」(チョ・ハンソン)を、殺し屋を率いて兵器販売サイトを攻撃するサイコパスのボスとして復活させ、緊張感を吹き込んだ。原作で冷酷な殺し屋である「ソンジョ」(ソ・ヒョンウ)は、人を殺すたびに全羅道(チョンラド)なまりで「成仏しろ」と冗談を言うユーモラスなキャラクターに作り上げた。14日、ソウル鍾路区(チョンロク)の東亜(トンア)メディアセンターで会ったドラマ演出家のイ・クォン監督(49)は、「ベイルのように極悪非道な悪党が生きてこそ緊張感が増すのではないか。悪党が強ければ、主人公たちが団結する」と話した。

良い物語では、悪党は主人公に似ている。悪党と主人公もそのことを知っている。映画「ダークナイト」(2008年)でジョーカーはバットマンに向かって「人々の目にはお前も(私のように)狂った野郎だ」と言う。「殺し屋たちの店」では、かつて一緒に殺人請負をしたジンマンとベイルが大差ないように脚色された。ジンマンは一般人を殺さないと自分を慰めるが、「お前(ジンマン)とベイルは似ている」と仲間に言われ、苦悩する。

悪党であっても悪いことをする時には理由がある。映画「アマデウス」(1984年)でサリエリがモーツァルトに嫉妬するのが、どんなに努力しても才能に勝てない現実に挫折したからであるように。「殺し屋たちの店」で、ソンジョは時折、自分が孤児であり、殺し屋たちは生きるか死ぬかの境に立っていると言う。生き残るためにジンマンを裏切り、ベイルの味方になった理由をこう言い訳するのだ。ソンジョをただ冷酷な殺し屋として描く原作とは異なる点だ。原作者のカン・ジヨン氏(46)は14日、インタビューで、「原作は分量が短く、様々な話を入れられなかった。ドラマは8部作になり、悪党たちの物語がより豊かになったようだ」と話した。

アクションシーンをリアルにするため、犯罪規模を大きくした。殺し屋たちの組織「バビロン」が原作では小規模だったが、ドラマでは数百人が所属するグローバル犯罪組織になり、大規模な戦闘シーンを作り出した。原作では銃撃戦が繰り広げられるだけだが、ドラマでは四方から爆弾が降り注ぎ、殺人用ドローンが飛び回り、鮮血が飛び散る。イ監督は、「動画配信サービス(OTT)でドラマを2、3倍に早送りする視聴者の目を引き付けたかった。映画『キル・ビル』(2003年)とは違った現実感の高いアクションを作りたかった」と説明した。

ドラマとは異なり、原作は心理描写に力を入れている。ジアン自身が知らなかったジンマンの過去を理解していく過程で経験する複雑な感情の変化は、親と和解する子どもの話のように読める。

「幼い頃、両親は自分の苦労を私に話してくれませんでした。歳をとって初めて、両親の若い頃の苦悩を理解することができました。作品には、私たちが一生理解できないと思われてきた親世代を受け入れたいという思いを込めました」(カン氏)


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com