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「非好感」政治の代償、結局は国民が払う

「非好感」政治の代償、結局は国民が払う

Posted January. 11, 2024 07:58,   

Updated January. 11, 2024 07:58

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歴代政権の大統領府、大統領室にいた人たちがよく言うのは、「選挙を控えて政府、与党が使えるカードはあまりにも多い」ということだ。第22代総選挙を3ヵ月後に控えた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、この言葉を確認させるかのように、連日大型の政策カードを大量に出している。

尹大統領は2日、韓国取引所の開場式で、「金融投資所得税の廃止を推進する」と述べ、1400万の株式投資家を狙ったサプライズカードを出した。数日後には退職した高齢者など健康保険地域加入者の保険料を安くするために、自動車にかかる追加保険料をなくし、家にかかる保険料も軽減する対策を発表した。付加価値税を少なく支払う簡易課税の小規模事業者の範囲を年売上高8千万ウォンから約1億ウォンに拡大する案も推進しているという。

大きな選挙を控え、「民生対策」という名目で政府がばらまき政策を打ち出すことに国民はすでに慣れている。約4年前、文在寅(ムン・ジェイン)政権は4・15総選挙を数日後に控え、まだ被害が可視化されていない新型コロナウイルス感染症の対応として、全国民災害支援金の支給を決定した。4人家族基準で100万ウォンずつ支給され、「久しぶりに韓牛を買った」という声が続出した。「ゴム靴選挙」の再現という批判が出たが、与党の圧倒的大勝に与えた効果は確かだった。

文政権の災害支援金と尹政権の民生対策シリーズは、現金を直接支給するか、税金などの負担を軽減するかという違いがある。経済論理で言えば、国の借金を増やし、インフレを誘発する現金ばらまきより、財政を保守的に運営して税金を減らす方が良い。だからといって、にわか作りの政策に副作用がないわけではない。大統領選の公約になかった金融投資所得税の廃止、簡易課税対象者の拡大は、「所得があるところに税金がある」という税政の基本原則を揺るがし、長期的に国の財政に悪影響を及ぼす。地域加入者の健康保険料引き下げは、今後、全体加入者の保険料引き上げ圧力を高めるだろう。

30%台から抜け出せない大統領の低い支持率を除けば、該当省庁の長官でさえ論理的な説明ができない政策を見て見ぬふりして推進する理由を説明することは難しい。「史上最悪の非好感選挙」と呼ばれた昨年の大統領選の後遺症が今回の総選挙まで続いているのだ。これまで、大統領が好感度を上げて支持率50%を超えたなら、今のように副作用が予想される政策を出す必要があるだろうか。少なく見積もっても数%の支持率を下げる「金健熙(キム・ゴンヒ)リスク」も、政府政策の負担になったと見なければならない。

4年前の状況も同様だった。文政権が任期初めに無理に引き上げた最低賃金のため、自営業者の苦痛が大きくなり、雇用は激減した。選挙前年から住宅価格、保証金が暴騰したうえ、新型コロナウイルス感染症の初期対応に失敗したため、政権の「非好感」は極限に達した。そして、災害支援金が放出され、任期中に400兆ウォン以上増えた国の借金とインフレという副作用が残った。先の大統領選のもう一人の主役だった最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、基本所得をはじめとする大胆なばらまき約束で高い「非好感」を克服してきた。釜山(プサン)襲撃事件の後、釈然としないソウルへの転院で釜山地域の好感度が下がったというが、これを乗り越えるためにまたどんなカードを出すのだろうか。

大きな改革を成し遂げた米国のフランクリン・ルーズベルト、ジョン・F・ケネディ、ロナルド・レーガン元大統領は、政党や理念を離れ、高い個人的好感度が強みだった。普段から積み重ねてきた「好感度の点数」があったからこそ、政治・経済・社会の改革の必要性を説得し、国民に忍耐を求めることができた。甘いことを言う代わりに改革の痛みを分担してほしいと堂々と要求する「好感を持てる政治家」に韓国国民はいつになったら出会えるのだろうか。