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年々増える働く老人、高齢層の雇用対策が見えない

年々増える働く老人、高齢層の雇用対策が見えない

Posted July. 31, 2023 08:27,   

Updated July. 31, 2023 08:27

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京畿道(キョンギド)のある小学校は今年初め、児童たちの基礎学習を助ける講師を募集した。1人を選ぶのに8人が志願し、競争率は8倍だった。教師として40年近く働いて退職した先生だけでなく、大学院まで終えた高学歴者たちも書類を提出した。選抜過程を担当したA教師は、「70歳を越えたのに、志願書を出した方もいた」とし、「引退する前にあらかじめ準備しなければ、後で仕事がしたくても働き口自体を得るのが容易ではなさそうだ」と話した。

すでに韓国の55~79歳の10人中6人は、仕事をしているか働き口を探している。統計庁が最近出した「経済活動人口調査の高齢層の付加調査の結果」によると、今年5月、55~79歳の高齢層人口の経済活動への参加率は60.2%だった。高齢層の経済活動参加率が60%を超えたのは今回が初めてで、3年間史上最高値を更新した。特に65歳を過ぎても働く高齢者が急増している。昨年は65歳以上の就業者が326万5000人で、2017年より50%以上増加した。5年間の年平均の増加率は9%に迫る。

働く高齢者が増えるのは、ベビーブーム世代(1955~1963年生まれ)が引退し始めただけに避けられない。しかし、彼らが依然として雇用市場を離れられない理由は、やはり「お金」が大きい。実際、全体高齢層の中でこの1年間年金を受け取った人たちの割合は、50.3%に止まった。彼らが国民年金などを含めて、1ヵ月に受け取った全体年金の受領額は平均75万ウォンだった。生活費などのお金が必要で、仕事をしなければならない人が多いことになる。

高齢層の薄い懐事情は、最近増えている65歳以上の女性就業者を通しても推し量ることができるという指摘も出ている。先月、65歳以上の女性就業者は167万5000人で、1年前より14万4000人が増えた。6月の全体就業者は33万3000人が増加したが、このうち43%が高齢層の女性である。ある国策研究機関の関係者は、「宿泊や飲食店業でも同時に就業者が増えており、これらの業種は相対的に賃金の水準が低かったり臨時職であることが多い」と話した。65歳以上の女性就業者のうち、一部は質の落ちる働き口も厭わず、就職に乗り出している可能性があるという意味だ。

しかし、高齢層の経済活動の参加率が増えていることを、生活費の側面だけで見れば見逃す点もある。働き続けたい55~79歳の内、「働く楽しさ」のために働きたいと答えた人たちの割合は35.6%に達した。働き口を選択する基準も、「仕事の量と時間帯」(29.6%)を「賃金水準」(25.0%)より多く挙げた。年を取っても自分の楽しさを探すために、「ワークライフバランス」(仕事と生活のバランス)を取りながら働きたい人も多いという意味だ。

その理由が何であれ、高齢層の経済活動の参加率は今よりさらに高くならざるを得ない。そして高齢層の中でも、性や年齢、教育水準などによって働き口に接する姿は変わることになる。昨年、政府の財政支援雇用事業の予算は、補正予算基準で31兆7200億ウォンだった。32兆ウォンに達する予算編成や配分の過程で、体系的な高齢層雇用政策は見られなかった。65歳を過ぎても働く人々のために、政府はどのような下絵を描いているのか振り返ってみなければならない。