「大衆を満足させることができるとは考えていなかったのです。こういうジャンルを楽しむ方々が好んでくれるだろうと思って作ったんですが、多くの方々が見てくださって不思議です」
ネットフリックスのオリジナルドラマ「地獄が呼んでいる」で世界1位になり、グローバルスター監督になったヨン・サンホ監督(43)。氏は25日、テレビインタビューで「寝て起きたら、1位だと言われて戸惑った」と、ドラマが公開されて1日で世界1位となった感想を明らかにした。
オンライン動画サービス(OTT)コンテンツランキング集計サイト「フリークスパトロール」によると、24日基準でネットフリックステレビショー部門の世界1位だ。公開翌日の20日に1位だったが、翌日に2位に下がった後、22日から再び1位の座を守っている。韓国ドラマでは最短期間で1位になった上、ヒットが続き、「地獄が呼んでいる」は「第2のイカゲーム」と呼ばれる。
ヨン監督は、「地獄が呼んでいる」を含む韓国コンテンツの人気について、「これまで韓国ドラマや映画が、世界市場で培ってきた信頼が爆発した結果だ」と語った。
「私は『決壊』(堤防が水に押し流されて崩れること)という言葉が好きです。10年ほど前から韓国のコンテンツが世界市場という壁に亀裂を作り、これらの亀裂が集まって堤防が崩壊したのです」
「地獄が呼んでいる」は、ジャンル物の面白さと正義などに関する哲学的奥深さのバランスが良いと、評価されている。ヨン監督は、「大学時代に本当に面白かった(日本漫画)『20世紀の少年』のバランス感を、どうすれば実現できるか悩みながらこの作品を構想した」と話した。
「地獄が呼んでいる」は、天使が特定の人に地獄行きの時間を告知し、予告された時間に地獄の使いが現れ、地獄の苦痛を実現するという設定が中心。疑問を誘発する設定自体がドラマを最後まで見るようにする原動力だが、結末にも地獄行きの告知と実現がなぜ起きるのかについての答えがなくて残念だという評価も多い。氏は「『地獄が呼んでいる』は、巨大な宇宙的恐怖とそれに出くわした人間の姿を扱うコスミックホラージャンルだ」とし、「コスミックホラーは、ミステリーな状況はミステリーのままにしておいて、その状況に出くわした人間たちの姿を現実味をもって見せるのが重要だ」と話した。
『地獄が呼んでいる』のシーズン2の制作に対する関心も高い。ヨン監督とチェ・ギュソク漫画家が一緒に作った同名原作のウェブトゥーンと違って、ドラマの結末部分にシーズン2の余地を残すシーンが追加されたのも、シーズン2への期待を高めている。ヨン監督は、「来年下半期に後続の物語をマンガで紹介できそうだ」とし、「映像化するかどうかは議論してみなければならない」と語った。ヨン監督は次回作に、俳優の姜受延(カン・スヨン)、キム・ヒョンジュらが出演するネットフリックスのオリジナルSF映画「ジョンイ」を制作している。
孫孝珠 hjson@donga.com