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曇った夕方の言葉

Posted August. 14, 2021 08:29,   

Updated August. 14, 2021 08:29

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詩人イム・ソンヨン氏の詩を一編紹介したい。実際、あらかじめ挙げておいた詩はもっと多かった。マッコリを飲んで泣いていた妻の詩。少し知能の落ちるような「クァンリョル」が僕は本当に好きだという詩。記憶したい詩はたいてい具体的な詩だった。全泰壹(チョン・テイル)文学賞を受賞した氏は、労働現場で詩を書く詩人だ。主に抽象ではなく、具体から詩を求めるスタイルだ。そのためか、生きている人や実際の人生が登場する時、彼の詩も生きて息をする。

一方、「曇った夕方の言葉」には特定の人の名前も出ず、事件も、会話も登場しない。それなら、ここには私たちの人生はないだろうか。全然違う。この詩の中には、積み重なった人生の総合が盛り込まれている。日々の人生を、その一つ一つを何度も蒸して乾かし、エキスだけを得たように具体的な人生が濃く溶け込んでいる。長い間、人生の骨を折ってきたと言えるだろうか。詩人の苦労に感謝したいほどだ。

この詩の醍醐味は、読む私たちを驚かせるということだ。消された温かさと長く残った軽蔑。絶望と嘘を信じる私と他人たち。愛する能力の喪失。一つ一つ間違いなく、自分自身を狙った話のようでドキッとする。何も間違ったようではないが、人生は間違って生きたような日、この詩は私たちの胸に入っては出ていかない。詩が少し悲しく読まれるのを見ると、温かく愛し、豊かに暮らしたいという希望は残っているようだ。

文学評論家