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「ISの空席を占有せよ」イラク政府‐クルド族の対立拡大

「ISの空席を占有せよ」イラク政府‐クルド族の対立拡大

Posted July. 01, 2017 08:38,   

Updated July. 01, 2017 08:38

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過激派組織「イスラム国」(IS)による3年間の占領から事実上脱したモスルでは、人口200万人にのぼるイラク第2の都市への復興に向けた住民の自発的な再建作業が行われている。

ISの圧制と熾烈な戦闘で破壊された都市の各所で、爆撃の残骸を取り除き、建物を建て直している。モスル東部で自動車部品店を経営していたラペフ・カネムさんは、4月から周囲の商人と共に商店の建て直し工事をしている。カネムさんの2階建の店は1月の爆撃で破壊された。

 

ISが去った後、イラクの近隣都市やトルコなど周辺地域との道が再び結ばれて補給が再開されたことで、セメントや鉄など建築資材の価格が下がった。ロイター通信によると、IS治下ではセメント1トンが300ドル水準だったが、最近では25%ほど下がった。カネムさんは、「政府の支援を待っては時間がかかりすぎる。今後、都市再建プロジェクトが多くなれば鉄やセメントなど建築資材の価格が上がるため、できるだけ早く始めた方がいい」と話した。

しかし、ISの暴政と戦争で住宅数百軒や空港、駅、大学などの公共の建物の多くが破壊され、都市を正常化するには時間がかかりそうだ。

イラク軍が先月29日に公式奪還を宣言したが、まだ西部の旧市街地にはISの残党がいるため、政府が再建を主導するにはかなりの時間がかかると見える。

ISが去った後の空席を占有しようとイラク政府とクルド族の角逐が起こる可能性が高い。モスル奪還戦にはイラク軍だけでなくクルド自治政府の軍事組織「ペシュメルガ」も参戦した。韓国外国語大学国際地域大学院の徐廷珉(ソ・ジョンミン)教授は、「ぎこちない共存を続けてきたクルド族とイラク政府のモスルをめぐる競争と対立が水面に浮上するだろう」とし、「今年9月、クルド自治政府がイラクからの独立を決める住民投票を行うと宣言し、対立が増幅されるだろう」と見通した。

イラクでISが完全に追放されても、新たな抵抗集団が出てくるという分析も出ている。ISは、2003年のイラク戦争で追放されたスンニ派政権を強硬に弾圧するシーア派新政府に対する反発から生まれたスンニ派過激派組織だ。ISが消えてもISを胎動させたイラクの慢性的なスンニ派とシーア派の対立は存在する。圧倒的な武力で地域を安定させることができる米国が撤収した状態なので、イラク政府がIS以降、全国各地で起こる武装闘争を鎮圧することができるか未知数だ。

 

国立外交院の印南植(イン・ナムシク)教授は、「たとえスンニ派過激派組織のISが敗退したとしても、国をシーア派に奪われたというバアス党(過去スンニ派政権党)の残党の怒りは今なお残る」とし、「イラクでISが壊滅した後、イラクのスンニ派、シーア派、クルド族間の対立が再演される可能性が高い」と強調した。



趙東住 djc@donga.com · 金守蓮 sykim@donga.com