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[社説]「帝国の慰安婦」共感できない記述は多いが、刑事処罰は慎重でなければ

[社説]「帝国の慰安婦」共感できない記述は多いが、刑事処罰は慎重でなければ

Posted December. 08, 2015 07:21,   

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検察が先月18日、「帝国の慰安婦」を書いた世宗(セジョン)大学日本語日本文学科の朴裕河(パク・ユハ)教授を名誉毀損の容疑で不拘束起訴すると、韓国と日本の知識人が学問と表現の自由の侵害だと批判する声明を出した。日本政府が法的責任の認定と謝罪、補償などを受け入れない状況で、慰安婦問題の論争が違うところで広がるのは残念なことだ。

「帝国の慰安婦」は、朴教授が2013年8月に初版を出した時から慰安婦問題に対してこれまで明らかになった事実とは異なる記述で論議を呼んだ。昨年6月、慰安婦被害者が本の一部の表現が人格権を侵害したとして出版禁止仮処分訴訟を起こしたことで、裁判所は今年2月、34ヵ所を削除して販売するよう決定を下した。「朝鮮人慰安婦は(日本軍と)同志的関係だった」、「基本的には収入が予想される労働であり、その意味では強姦的売春だった。あるいは売春的強姦だった」といった部分だ。学問的論証の有無は別にして、現在生存している慰安婦被害者としては到底受け入れることのできない表現だ。

慰安婦被害者の告訴事件を捜査した検察は、「国連の調査資料、憲法裁判所の決定、米連邦下院の決議文、日本の河野談話などの客観的な資料を通じて、朴教授の本の内容が虚偽の事実で旧日本軍慰安婦被害者の名誉を傷つけたことを確認した」と明らかにした。朴教授は裁判所の命令に従って問題になった部分を削除して修正版を出しながら、日本政府に法的責任があるとは考えないという見解は修正しなかった。朴教授は、「強制連行に対する法的責任が日本国家にあるとは言いがたい。言い換えれば、慰安婦に行なわれた暴行や強制的な無償労働に関する被害は1次的には業者と軍人個人の問題だと問わざるを得ない」(191頁)と主張した。

これは、慰安婦問題が日本が犯した明白な戦争犯罪で法的責任を負わなければならないという国際社会の認識とは異なる。また、「朝鮮人慰安婦が軍需品だったなら、強姦に遭ったオランダ女性や中国女性は戦利品だった」(219頁)という表現も、文脈上誤解を受ける素地がある。慰安婦動員に韓国内部の協力者がいたという点、最大20万とされた慰安婦の数の根拠が明らかでないことなど、朴教授の見解には一理あるところもある。

慰安婦被害者のチェ・カプスンさんが5日に他界し、もはや生存者が46人しかいない。起訴するかどうかを決める際、検察としては被害者の名誉感の程度を考慮しないわけにはいかなかっただろう。ただ、「帝国の慰安婦」に対する評価は学界と市民社会の議論に任せ、朴教授に対する刑事処罰の有無は慎重に決めるのが望ましい。