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[社説]無償福祉の構造調整のない文喜相の増税論は無責任だ

[社説]無償福祉の構造調整のない文喜相の増税論は無責任だ

Posted November. 11, 2014 03:11,   

最大野党の新政治民主連合の文喜相(ムン・ヒサン)非常対策委員長は昨日、「我々の問題は、福祉過剰ではなく、福祉不足だ」とし、「無償保育や無償給食共に諦めないために、その解決策は増税へと向かわざるを得ない」と主張した。彼は、政治圏での合意が難しければ、増税のための社会的大妥協機構を立ち上げるべきだと、与党セヌリ党に公式に提案した。しかし、セヌリ党の金在原(キム・ジェウォン)首席院内副代表は、「国民の経済状況が悪化している今、増税を議論する場合ではない」とし、「できるだけ有効に財政を運用せざるを得ない」と否定的な反応を示した。野党代表が提案した増税論は、不適切かつ無責任だ。

セヌリ党は12年の大統領選挙で、歳出の構造調整や地下経済の陽性化を通じて、増税しなくても福祉財源をまかなうことができると公約した。事実上、増税のない福祉を約束したのだ。朴槿恵(バク・グンへ)候補は、このような公約で票を獲得し、大統領に当選した。福祉費用は、国民の税金から出てこざるを得ないというのは、常識だ。選挙で票を獲得するために、与野党を問わず、無分別なばら撒き性福祉公約を打ち出し、その後始末ができなくなると、いまさら国民の懐から金を取り上げる試案ばかりしているのか。

新政治連合が考えている増税とは、富裕層増税と法人税引き上げというポピュリズム政策だ。しかし、現実的に増税に踏み切るのは容易ではない。現在の税法上、個人所得が2000万ウォン以下なら、1ウォンの税金も払わずにすむ。全体労働者の53%が免税点以下の所得だ。12年に改正された所得税法は、課税標準(個人所得—所得控除額)が8800万ウォン以上3億ウォン以下の場合は35%、3億ウォン超過なら38%を支払う。3億ウォン以上の場合、追加でかつてよりさらに3%の増税になり、高所得者の税率をさらに引き上げた。野党が増税を政争に取り上げるつもりなどなければ、「金持ち減税を撤回せよ」というスローガンは、現実とはかけ離れた主張だ。

法人税を引き上げることも、容易なことではない。世界は国境無き競争を繰り広げており、企業各社の誘致のために全力を傾けている。我々だけが、法人税を引き上げれば、工場が外国に出ていくことになる。法人税引き上げは結局、労働者や消費者に転嫁され、逆進的所得再配分が起きることは、経済学の教科書にも出ている。

政治圏の無分別の増税議論に先立って、手がけるべきことは福祉政策の構造調整だ。我々より国民所得が3倍も多い米国も、無償給食や無償保育は行っていない。貧困層に選別的に福祉の恩恵を提供するだけだ。全ての選挙公約を守るほど、国の財政に余裕が無ければ、正直に事情を告白し、経済的に余裕のある階層にまで回っている不要不急な福祉から減らすべきだ。財政の限度内で選別的福祉が行われてこそ、増税のない福祉を実現することができる。