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[オピニオン]氷の女王の涙

Posted May. 20, 2014 03:02,   

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盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は公の席でよく泣いた。感情移入するのはいいが、指導者は感情と距離を置くことができなければならない。李明博(イ・ミョンバク)大統領は、哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没犠牲者告別式の式場で涙を見せた。惨憺たる心情は理解できるが、国軍統帥権者の威厳ある振る舞いではなかった。あるトイレの便器の上に「男が流してはならないのは涙だけではない」という標語を見かけたことがある。大統領でなくても中年男性なら別のものも流してはならないが、特に涙は堪えることができなければならない。

◆西欧で評価を受ける女性リーダーの資質も男性と別段違いはない。英国のサッチャー首相は「鉄の女」と呼ばれ、ドイツのメルケル首相はドイツのサッチャーと呼ばれる。米国人もヒラリー・クリントンが米国のサッチャーであることを望んだ。ヒラリーは2008年、民主党の大統領選候補を選ぶ予備選挙の強行軍途中、「髪の手入れは誰が助けているのか」という質問に「簡単ではない」と涙を浮かべた。それにより一時支持率を挽回したが、大統領になるほど強靭ではないという印象を与え、結局敗れた。

◆韓国は、大統領がセウォル号惨事で涙を見せなかったことに称賛するどころか、「子どもを育てたことがないから」、「感情が涸れた氷の女王だから」と非難する国だ。死が迫っていることも知らず、大人たちの誤ったアナウンスを最後まで信じて待った子どもたちのことを考えると、居たたまれない思いにならない人はいないだろう。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も同じだろう。それゆえ大統領が、それも女性大統領が公の席で泣かないことの方がすごいと感じた。

◆朴大統領は19日、最後に涙を見せた。対国民談話の終盤、自分のライフジャケットまで脱いで犠牲になった生徒や乗務員の話しをして感情が込み上げたようだ。これに対してまで、朴大統領が政治的効果満点の涙を使っただとか、ハンナラ党のテント党本部を始めた時もあのような涙を見せただとか分析する人には嫌気がさす。ただ、指導者の涙に冷静な私としては、一つ明確にしておきたい。大統領は涙を流す人ではなく、涙を拭く人でなければならない。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com