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「No」という表現が乱舞する外交舞台

Posted February. 11, 2014 05:09,   

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「軍人が『No(違う)』と言えばNo、『Yes(そうだ)』といえばYesだ。『Maybe(多分)』と言うのは軍人ではない。外交官は『Yes』だといえば『Maybe』、『Maybe』といえば『No』だ。『No』だと言うのは外交官ではない」

外交の世界で広く知られる警句の1つだ。相手がいるためそれだけ慎重にならざるを得ない外交官の話法を説明した言葉だ。首脳会議が頻繁なことは最近の国際外交舞台では「No」という言葉だけでなく、それ以上の表現も登場している。

日本の安倍晋三首相が昨年末に靖国神社を参拝した後、駐日米国大使館は「失望(disappointment)」したと声明を発表した。高級外交官である海外駐在の中国大使40人余りは、全世界で安倍首相に対して非難を浴びせた。

ナショナリストという表現がぴったりの安倍首相の一方的な振る舞いは続いている。安倍首相の振る舞いをどう見るべきか。何よりも東アジアの国際秩序の急激な変化という環境要因が最も大きな背景だろう。

第2次世界大戦後、東アジアの国際秩序は「現状維持の枠組み」を維持してきた。韓国、中国、日本いずれもが望む方式ではなく文書化されたわけでもないが、表向き暗黙の合意が守られてきた。このような現状維持は一定の平和状態を導く装置だった。韓中日3国が世界経済を率いる牽引車として成長したのも、このような環境が背景だった。北朝鮮核問題の解決に向けた6者協議で意見をまとめることができたのも、このような秩序ゆえに可能だった。

この枠組みは、2012年に日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化し、中国が昨年11月、東シナ海一帯に防空識別圏(ADIZ)を一方的に設定したことで崩壊の危機に直面した。

ヘンリー・キッシンジャー博士は著書『回復された世界平和』で、「古典的意味での外交、すなわち交渉で意見の相違を調整する行為は『正統性』ある国際秩序でのみ可能だ」と述べた。その性格が暗黙的合意であっても、東アジアの既存秩序は正統性を持っているわけだ。しかし、日本と中国がこの枠組みを破る新たな規則を掲げる状況では、伝統的な意味の外交の場所は狭くなる。そうした点で、日中両国はキッシンジャー博士が既存秩序を破る勢力という意味で定義づけた「膨張的(acquisitive)国家」の範疇に含めることができる。

このような膨張的勢力の力が投射される東アジアの現存秩序が維持されるのか、さもなければ変革的状況につながるのか予測することは難しい。明らかなことは、過去に戻ることは容易でないということだ。安倍政権に対する中間評価の性格を帯びた9日の東京都知事選挙で、舛添要一元厚生労働相が勝利したことで、安倍首相の右傾化は続く可能性が大きくなった。

ならば出口が見えない東アジアの難題を解くためにどのような作業が必要だろうか。

国内の位置を固める安倍首相の動きに感情的に反応し、日韓関係の間に入り込む中国の「好意」を受け入れることは、長期的な韓国外交に役立たないだろう。新たな秩序が形成される時には、新しいアプローチが必要だ。

韓国、中国、日本はもとより「アジア回帰(Pivot to Asia)」戦略を掲げる米国が参加して新たな秩序を対話で築く新しい協議体を作るのはどうか。発言と同時に実務者を締めつける首脳間の外交よりも、「Yes」に慣れた外交官たちに新しい枠組みを作る「創造的」外交の場を任せることの方が衝突よりも良くないだろうか。