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贅肉との戦い…我々はなぜ太るのか?

Posted January. 18, 2014 08:35,   

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市場に溢れているダイエット関連書籍や体重減らしを素材にしたテレビのリアリティーショーを目にしながら、入社後、絶えず増え続けている腰周りを思い浮かべたことは、一度や二度ではない。自分の中の食事への貪欲さや怠惰が原因のような気がして、息苦しさは、腰の周りに比例して膨らむばかりだった。

世界的科学学術誌・ネイチャーで、「肥満関連の本の中では最高」という評価を受けているこの本は、現代人らにはまるで罪悪や病気かのように受け止められている肥満を巡る常識に挑戦状をたたきつけている。米スミソニアン国立動物園の研究員であるマイケル・パワーと、米国立精神保健院研究教授のジェイ・スルキンは、人間生物学(human biology)の観点から、我々を肥満に導く環境と生命活動との相互作用について解明している。

彼らは、肥満を理解するためにはまず、我々の体が進化という過去の遺産を背負っていることからスタートすべきだと主張している。人間は、類人猿を含め、地球上のいかなる動物より、新陳代謝を通じて脂肪を作り出す能力や、体内に脂肪組織を貯蔵する能力が発達している。人間の赤ちゃんは、哺乳類の中では、最も肥満な状態で生まれる。なぜ、とりわけ人間だけがこうなのだろうか?

著者は、その秘密を解くカギを、人間の脳から求めている。現生人類は約10万年に渡る進化の過程で、脳の大きさや容積が増え続けてきた。脳の基礎代謝量は、我々のどの器官より高く、脂肪そのものが、脳組織の多くを占めている。結局、大きくなった脳の構成や機能発揮のため、我々の体は、高カロリーのえさ(主に脂肪)を探すようになったという。また、かつては、このようなえさがなかなかなかったので、摂取できる時に、できるだけ多く貯蔵しようと、体内脂肪の貯蔵能力を高める方向に進化してきたという結論だ。

下半身の肥満で悩んでいる女性らを慰める内容もある。妊娠期間中、胎児の脳成長に必要な脂肪供給を引き受けている女性は、男性より肥満に弱くならざるを得なかった。特に、生殖器官に近い下半身が、脂肪の主要貯蔵庫の役割を果たすようになったという説明がそうだ。栄養学から内分泌学、解剖学、生理学の研究成果をまとめており、ホルモンや酵素名などの専門用語に慣れていない読者が読むには、難しい下りも出てくる。しかし、人間の生命体の進化と肥満との関係という大きな流れを理解するのに役立つ。

肥満の責任を、個人の生にしていないからといって、著者らが、肥満を進化の自然な結果だとかばっているわけでもない。彼らは、かつて、食糧不足などの環境的要因のため、表に表れなかった肥満が、現代に入っては、エネルギーを使う身体活動は減り、食べ物は溢れ、エネルギーのバランスが崩れ、本格的に広まったと主張している。脂肪が生殖に役立つとはいえ、昨今、肥満は不妊の主要原因の一つとなっている。

肥満をめぐる著者らの対策は、模範答案のレベルを超えていない。我々の体は、基本的に活発なライフスタイルに合わされて設計され、進化してきただけに、更なる身体活動の可能な環境を構築すれば、飲食摂取を巡る心配は、自ずと減ることになるという。無理に食べ物の摂取を減らし、体脂肪量や血糖など、一つやふたつの要素の数値を正常化させるやり方では、睡眠や代謝量、ホルモンなどのほかの変数にかく乱をもたらし、かえって、身体バランスや健康を害しかねないという警告も忘れていない。現代人の中に、このような危険性を知らず、ダイエットの挑戦する人がいるだろうか?

本を閉じれば、今晩、ビール一杯の約束を破らなくても大丈夫そうな安堵感と同時に、ソファやベッドの相性がぴったりの重たい腰を、どうすれば少しでもまめまめしく動かすことができるかという、重い悩みが押し寄せてくる。退社後、月明かりの屋上で縄跳びでもしなければならないか?