ソウル麻浦区西橋洞(マポグ・ソギョドン)や上水洞(サンスドン)など弘益(ホンイク)大学周辺が現在の若者の名所だとすると、1980、90年代の大学文化を代表する街は延世(ヨンセ)大学前の新村(シンチョン)だった。延世大学正門前の「ドクスリ(ハゲワシの意)ダバン(茶室)」や居酒屋の「フェドラ」、「弘益文庫」は、新村の大学文化を象徴する空間だった。
00年代に入って以前の大学文化が徐々に消えて商圏も衰退した延世路が最近、歩行者を配慮した道路工事を終えて新しくオープンする。ソウル市と西大門区(ソデムング)は、延世大学正門前のトンネル〜新村地下鉄駅までつながる延世路の「大衆交通専用地区」の工事を終え、来年1月から本格的な施行に入ると発表した。歩道は既存の幅3〜4メートルの2倍程度である7〜8メートルへと広くなり、電信柱など歩行の邪魔になる施設を無くした。これからこの通りにはバスや緊急車両、自転車だけが通行でき、乗用車やタクシーは通行できなくなる。
今月28日まで延世路では「新村延世路クリスマスマーケット」祭りが行われる。祭りの期間中には新村駅の前で延世大学前のチャンチョン教会までは車両の出入が統制され、道路全体が遊び場として運営される。チャンチョン教会の前には「ツリーゾーン」が設置されて色とりどりのクリスマスツリーが火を灯す。
23日午後、記者が訪れた延世路の「マーケットゾーン」では44の小さい臨時商店が客で賑わっていた。フランス人がその場で焼いて販売するクレープや弘益文庫が出した割引図書、市民団体が販売するエコバッグ、絵葉書など様々な商品が視線を引いた。
新村商圏の活性化に向け、新村現代(ヒョンデ)デパートも街に割引売場を設けた。ユープレクスの前に設置されたステージでは全国の大学のダンスサークル所属の学生がヒップホップダンスを披露して熱い反応を得た。28日までこの通りで延世大学サークル連合会の公演やアマチュア・ジャズ・フェスティバルが続く予定。大学生のシン・ヒョンジョンンさん(24)は、「最近の新村を道路工事だけでドラマの『応答せよ1994』の背景のようにロマンチックな空間に戻すのは難しいでしょうが、大学生と商店が共生できる多様な文化公演が沢山開かれてほしい」と話した。
今回の祭りが終わった後は、新村を遊興の街から大学文化の中心に変えるための作業が進められる。昨年11月、開発計画では撤去されるところだったが、市民の署名運動で保存が確定した弘益文庫の変化が代表的だ。弘益文庫は書店の5階をセミナー室に改造して地域社会に無料で開放し、読書会や時事討論会などが開かれている。
西大門区は23日、弘益文庫やドクスリダバンなど延世路近くの書店やカフェで、趙廷来(チョ・ジョンレ)、金南祚(キム・ナムジョ)、鄭浩承(チョン・ホスン)ら有名作家のサイン会を開いた。弘益文庫の前から延世路170メートルの区間に作家のハンドプリントがある縦横50センチの銅版を設置した。ここに刻まれた人気作家の言葉も胸に響いた。「毎日の最善の積み重ねが、その人の生涯になります」(金南祚詩人)、「人と人の間に島がある。私はその島へ行きたい」(鄭浩承詩人)などの言葉が行く人の足を止めた。
西大門区は延世路で大学生や地域住民、商店が一緒に参加できる詩の朗誦会、ストリートミュージシャンの公演などを定期的に開くことを検討している。
新村近くの青年文化活動家約40人は、新しい文化で新村一帯を満たすという趣旨で、仮称「新村再生フォーラム」の発足を準備している。彼らは新村の衰退が文化コンテンツの不足のためと見て、延世路を文化で満たす活動を推進することにした。