おととい、大邱(テグ)駅で発生した列車事故は、無停車通過するKTX列車を、待機線路にあったムグンファ号列車が見かけられず、本線路へ進入したために発生した。KTX列車が脱線した状態で、反対方向から来ていた他のKTX列車が脱線した客車と衝突する2次事故も発生した。人命被害が4人の負傷にとどまったのがせめての救いで、ひょっとしたら、大型惨事につながるところだった。約1300人の乗客と国民は驚いた胸を撫で下ろした。
当局の調査結果、本線路と待機線路の信号灯を混同したムグンファ号列車の機関士の不注意が決定的な事故原因だった。だからと言っても、駅の現場と管制室でムグンファ号列車の運行を統制できたら、事故を防げたはずだ。事故後に反対方向から来ていた他のKTX列車が止まらなかったのも、駅の管制室で停車措置をとらなかったのも理解し難い。結局、今度の事故も安全不感症がもたらした人災であるわけだ。
ついでに列車の管制システムに問題がないか点検しなければならない。通常、ムグンファ号には2人の機関士を配置して運行と管制受付を分担させるのが原則なのに、いつからかコレイル側がリストラなどを理由に1人に減らしたという。大邱駅の本線路と待機線路の信号灯が同じ大きさで一緒に設置されていて、機関士が勘違いしやすくなっていることも分かった。大邱駅では5年前も似た事故が発生したことがある。昨年1月、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)駅では管制ミスで、KTX列車が駅を通り過ぎてから後進して乗客を乗せたこともあった。
列車の生命は定時到着のような正確性と安全性だが、その中でも安全性が最優先だ。特に、速い速度で走るKTXは、関係者の小さな間違いや技術的な欠陥、管制システムの不具合によって大きな人命被害をもたらしかねないため、いくら安全を強調してもやりすぎではない。当局は今度の事故を契機に、従事者の服務規程と管制システムの総体的な点検に取り組むべきである。






