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同性結婚、差別違憲判決の意味

Posted July. 01, 2013 08:35,   

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米連邦最高裁が先月26日、同性夫婦に対する制度的差別を規定した連邦政府の結婚防備法(DOMA)に対して違憲判決を下し、同性結婚を禁止したカリフォルニア州法の条項(プロポジション8)も棄却した。今回の判決は、性的マイノリティ(LGBT=レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人権運動に画期的な転機となった。しかし、同性愛者が米全域で完全な平等を得るまでには越えなければならない壁が多い。

最高裁の判決は、結婚を異性間の結合にのみ限定した米29州の州憲法の改正には影響を及ぼすことはできない。

社会の偏見と冷遇も依然として強い。代表的な例がタイラー・クレメンティの自殺だ。2010年9月、ニュージャージー州ラトガース大学の18才の新入生のクレメンティが自殺した。数ヵ月後に明らかになった彼の自殺の原因は衝撃的だった。偶然にクレメンティの同性愛を知った彼のルームメートでインド系学生のタラン・ラヴィは、クレメンティに内緒で部屋にパソコンのウェブカメラを設置した。その後、ラヴィは、クレメンティがボーイフレンドとキスする様子をチャットで生配信した。有能なヴァオリニストで、感受性が豊かなクレメンティは自分の密かなプライバシーが公にさらされた事実を知って苦しんだ。彼は、ツイッターで自殺をほのめかし、ニュージャージー州とニューヨークのマンハッタンをつなぐジョージ・ワシントン・ブリッジから身を投げた。

この事件は、米国で同性愛に対する憎悪犯罪やサイバーによるいじめをめぐる論争を巻き起こした。事件発生から約2年が経った2012年5月、論争はさらに加熱した。裁判所が、クレメンティを自殺に追い詰めたラヴィに非常に軽い30日の懲役と300時間の社会奉仕、寄付・罰金1万1900ドルの判決を下したためだ。事件の重大さに比べてラヴィが軽い刑を受けた理由は、裁判所が彼の行動を「憎悪犯罪」ではなく「偏見犯罪(bias crime)」と判断したためだ。

憎悪犯罪は、同性愛者、マイノリティ、特定の宗教信仰者、社会的弱者などに理由のない偏見や憎悪心を持ってテロを加えたり威嚇する行為をいう。裁判所は、「ラヴィがクレメンティと同性愛者を憎悪したというよりも、非常に無神経な行動だった」とし、プライバシーの侵害、証拠隠滅など比較的軽い犯罪だけを認めた。クレメンティの家族と同性愛人権団体は、「ラヴィの残酷な行動がクレメンティを殺した」として裁判所の判決に強く反発したが、変わらなかった。

クレメンティの両親であるジョーとジェインは、息子の悲劇的な死の後、同性愛者人権団体「タイラー・クレメンティ財団」をつくった。長く通った教会も同性結婚に反対するという理由で通うことを止めた。もう一人の息子のジェームズも同性愛者だ。ジェインは、同性結婚への支持、同性愛憎悪犯罪防止のために努力しなければならない理由を次のように述べた。「世の中には単に同性愛者を苦しめる人だけがいるのではなく、彼らをほかの人よりも劣等だと考える人が多い」

オバマ大統領は、今年の新年国政演説で、マイノリティの人権保護を主張し、「ストーンウォールの反乱」について言及した。米国の同性愛人権運動の本格的な出発点と評価されるストーンウォールの反乱は、1969年6月、ニューヨーク警察が同性愛者のたまり場だった「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」に踏み込んだことで起こった。これに対して抗議する大規模なデモが起こり、数十年間たまっていた怒りが爆発して全域にデモが広がった。

ジェインは、息子の悲劇的な死の後、同性愛者という理由だけで傷つき、虐待される多くの若者がいるということ、同性愛者を苦しめることが深刻な犯罪であることも分からない人が多いということを知ったという。彼女は、連邦政府の結婚防備法に違憲判決が下された直後、「まだ始まりにすぎないが、私たちが進む道が正しいという確信を得た」とし、「この判決が多くの人々の命を救った」と話した。