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[オピニオン]彭麗媛

Posted March. 26, 2013 03:09,   

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最近公開した映画「リンカーン」で、エイブラハム・リンカーン米大統領のメアリー・トッド夫人は、小さい時に死んだ3男に執着し、夫を苦しませる人物として描かれている。浪費癖があり、南北戦争の時もホワイトハウスの内装や什器の取替えに大金を使い、議会とトラブルを起こしていた。性格が粗暴で、貧しい弁護士だったリンカーンにたびたび暴行を加えたともいわれている。リンカーンは、家庭で安らぎを求めることができなかったため、修正憲法により一層こだわったのかも知れない。メディアは、トッド夫人への攻撃に追われ、リンカーン大統領の過ちに相対的に寛大だったという言葉もある。それなら、トッド夫人は、リンカーンを偉人に仕立てるのに必要な「小物」だったのかも知れない。

◆最高権力者の妻は、単なる内助者ではなく、夫の考え方や判断に協力を影響を及ぼすことになる。大統領夫人の中では、アルゼンチンのエバ・ペロンのように、夫よりも大きな人気を博した人もいる。メディア政治時代に、大統領夫人は国家イメージを象徴することもある。腕までくる手袋や大胆なサングラスのジャクリーン・ケネディ夫人は、「若くて洗練された米国」を世界中の人々の心に刻んだ。フランスのニコラ・サルコジ大統領と在任中に結婚したブルーニ夫人は、「華やかで自由なフランス」というイメージを示した。ファーストレディとまで言えるかどうかは分からないが、金正恩(キム・ジョンウン)の妻、李雪主(リ・ソルジュ)が登場した時も、世界は北朝鮮の変化の兆しを期待したほどだ。

◆中国の習近平国家主席の初の海外訪問に同行した彭麗媛夫人が、夫よりも華やかなスポットライトを浴びている。国民的歌手の彭夫人は、中国では習首席より有名だった。18歳の時、人民解放軍文芸兵として入隊した彼女は、30年以上軍隊歌手として活動し、少将(韓国の准將)にまで昇進した。若い時代の彼女は、中国の女優・タン・ウェイそっくりの美貌を誇った。軍隊での生活で鍛えられた責任感や穏やかな気性は、氏の資産だ。彭夫人の人気があまりにも高かったため、彭麗媛への国民の関心や愛は、夫が出世することにも役立ったはずだ、という見方もある。

◆中国で、これまでファーストレディの役割が無かったのは、政局に波乱を起こした毛沢東の妻、江駙へのトラウマがあまりにも根深かったためだ。彭夫人の登場は、そのようなタブーを破ったという意味合いがある。とはいえ、江沢民元首席や胡錦濤前首席に、彭のような洗練された妻がいたなら、そのタブーを破る時期はより早まったかも知れない。膨大な規模に膨らんだ経済規模や高まった国の存在感にも関わらず、中国はみすぼらしく、時代の流れに遅れているという印象を与えてきたのは否めない。彭夫人の人気は、中国のファッションや芸術などのソフトパワーを示しながら、中国も世界の中心に差し掛かっていることを実感させる。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com