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[社説]首相不在の国

Posted September. 16, 2010 08:07,   

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韓国は人口4887万5000人で、国内総生産(GDP)=15位、輸出=9位、自動車生産台数=5位を誇る。就学率や識字率、ネット普及率は名実共に世界トップだ。世界の中で、大韓民国の存在感を確認できる数値だ。このような国で、鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相の退任(8月11日)から1ヵ月、金台鎬(キム・テホ)首相候補の落選(8月29日)から2週間が過ぎても、後任すら選出できず、難航している。

首相は、憲法(第86条)上、行政に関し、大統領から命を受け、行政各省庁を取り仕切るポストだが、歴代政府で首相が、実質的に内閣を統括したケースはあまりない。李明博(イ・ミョンバク)大統領も、一分野に集中する特別任務(特任)首相を好む。韓昇洙(ハン・スンス)首相は、「資源外交首相」、鄭雲燦首相は「世宗市(セジョンシ)首相」だった。 金台鎬首相候補は、大統領候補の世代交代向けだったのか。自他共に首相にふさわしいと認められる人々は、1、2年間の特任首相のため、恥さらしの聴聞会に出ることは気に食わないかもしれない。

首相任命が遅れ、外交通商部を始め、文化観光部や知識経済部など首長が空席だったり、臨時で居残っている省庁の長官職の任命提請も遅れている。不意に臨時職長官となった人々は、人事や政策を先送りにし、仕事がなかなかうまく進まない。鄭前首相を後任が任命されるまでに、留任させなかったことも間違いだ。

厳格な道徳性も、首相候補になければならない主な徳目であることに間違いない。とはいえ、高潔な聖職者を選出することでもないのに、道徳性だけ突き詰め、政策遂行能力を後回しにするわけにもいかない。高度圧縮成長を遂げながら、走ってきた国で、全く無傷の人物を探すのは容易なことではない。首相の下馬評が取りざたされたある高官は、ここ30数年間の公職生活を、領収証一枚まで取り出し、チェックしてみたが、2、3の項目で揚げ足を取られそうな気がして、自ら諦めたと打ち明けた。是非の種の全く無い無菌室な候補を探すためには、20〜30代から探さなければならない、という冗談まで出回っている。国民の期待水準を精一杯引き上げ、首相や長官候補らに適用する倫理、道徳の基準をいきなり下方修正するわけにはいかない。

大統領府は一体、普段からどのように人事資料を準備し、このような事態を招いたのか、もどかしいばかりだ。とはいえ、人がいないという言葉は、国民を憤らせるばかりだ。人事権者や人事ラインの限られた経験や狭いネットワークを通してのみ、人を探そうとするなら、答えはなかなか出ない。議員らが視聴者の人気だけに気を取られ、答弁の機会すら与えず、高官候補を踏みにじる聴聞会の方式にも問題が多い。これこそ、様々な先進指標に恥をかかせる韓国の現状だ。