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[オピニオン]ソウルの台風

Posted September. 03, 2010 03:05,   

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昨日未明、ソウルや京畿(キョンギ)住民は、風でマンションの窓ガラスのけたたましい音で、なかなか眠ることができなかった。サッシが落ちるのではないか気になるほど、強い風が吹き付けた。夜明け方に、看板や傘、ビニールなどが飛び交った。Aさんは、毎朝、運動のため、公園に出かける。家内から危ないから止めてと言われたが、彼は何時ものように、朝の運動に出かけた。人の姿はほとんど見当たらず、公園には、植えつけたばかりの草木が、根こそぎ倒れていた。根っこの強い木々の中には、幹の途中から折れたものもあった。

◆昨日午前6時35分、江華島(カンファド)に上陸し、ソウル北部を通過した台風「コンパス」は、数十年ぶりにソウルに最も接近した台風として記録されるだろう。慶尙南道(キョンサンナムド)や全羅南道(チョンラナムド)、濟州(チェジュ)などの南部地方は普段、台風のよく通る地域で、住民らも台風には相当鍛えられる。海雲臺(へウンデ)では、台風が通過するたびに、マンションの窓ガラスが割れるのは日常のことだ。今回のように首都圏を通過する台風は、大変珍しい。首都圏の住民は、初めて目にする台風の威力に度肝を抜かれた。立ち並んだ一抱えのメタセコイアの街路樹が、根こそぎ倒れた。地下鉄が運行中止となり、出勤途中の交通大乱に見舞われた。

◆コンパスは、中心付近の最大風速が25〜32メートルの中型台風だ。秒速15メートルなら、建物に取り付けられいる看板が落ち、25メートルなら屋根や瓦が飛ばされる。昨日、ソウル冠岳(クァンアク)や中浪(チュンラン)の最大風速はそれぞれ、29.7メートルと29.5メートルにも達した。秒速35メートルなら、汽車が転倒するほどと言われており、どれほど強かったのか、推し量ることができる。米国の大平原で、よく発生するトルネード(竜巻)は、コンクリートの住宅を壊し、大型トレーラーをおもちゃのように巻き上げ横転させる。

◆あまりの速さで、コンパスは自らの寿命すら縮めた。瞬く間に東海(トンへ)に抜け、そのまま消滅したが、その影響は並大抵のものではない。強風に稲が倒され、収穫を控えているリンゴや梨などが落ち、果物農家が打撃を受けている。漁船は漁に出られず、魚の値段も高騰している。農水産物の最大のかきいれ時の秋夕(チュソク、陰暦8月15日の節句)を控え、食品の物価が高騰している。太平洋の海水温度が高く、今後1〜2個の台風がさらに来るようで、それにしっかり備えなければならないだろう。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com