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風と地熱とバイオで 「エネルギー自立都市」デンマークのティステズを行く

風と地熱とバイオで 「エネルギー自立都市」デンマークのティステズを行く

Posted January. 13, 2010 08:27,   

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風や地熱はもとより、ゴミやと畜施設から出る廃棄物に至るまで、周辺の全てのものをエネルギー源として使用する都市、デンマークのティステズ。ユトランド半島の北西に位置する人口4万6000人の小さい田園都市であるティステズは、「デンマークで最も持続可能なエコ都市」として有名だ。この都市のように、「安価でクリーンな、しかも効率的な」新再生可能エネルギーの活用システムを構築している都市は事実上ないからだ。

●周囲の全てのものがエネルギー源

100キロにも及ぶ西部の海岸は、荒れる北海と接しているため、一年中強い風が吹き波も高い。世界中のウィンドサーファーたちが「コールドハワイ(Gold Hawaii)」と呼んで集まる人気スポットだ。風力発電には最適の場所なのだ。昨年12月4日、首都コペンハーゲンから飛行機で1時間、車で2時間をさらに走ってティステズに到着した時も、歩くことができないほど強い風が吹きつけていた。

1992年から全地域に風力で発電した電気を供給しているティステズは、「デンマークの風力発電のゆりかご」と呼ばれている。太陽熱や地熱を活用するのは当然である。

野原には麦わらが、人の背丈の高さで丸められ、いたるところに置かれている。飼料ではなく、バイオエネルギーを生産する「麦わら焼却炉」に送られ「地域暖房」に活用する麦わらだ。農家で飼育する牛や豚、ミンクの排泄物はもとより、と畜施設から出る廃棄物に至るまで、全てがガス生産に使われている。この日会った農民たちは、「ティステズでは年中、野原や家庭などの周辺でエネルギーを収穫している」と話した。

●「エネルギーの三位一体(energy trinity)」

この日午前、ゴミや麦わら、地熱を同時に活用する効率的なエネルギー生産のため、「エネルギーの三位一体」という異名を持つティステズの発電所を訪れた。ゴミの再生可能エネルギー発電所や麦わら焼却炉、地熱設備を連結して、各設備で発生する廃熱を完全に回収し、残さず使用する独特な熱併合発電所である。

ここでは年間5万2000トンのゴミを燃やして107GWh(ギガワット/時)の暖房熱や25GWhの電力を生産する。107GWhは、08年に韓国基準で2万1370世帯が年間使用する電力量に相当する。ラルス・トフト・ハンセン発電所運営委員会議長は、「化石燃料を1%も使っていないため、二酸化炭素はほとんど排出されない」と自慢した。ハンセン議長は特に、「煙突から出る白い物質は100%水蒸気だ」と言った。二酸化炭素やダイオキシン、二酸化硫黄などの汚染物質を全てフィルターでろ過した後、排出するためだという。

ゴミを活かしたエネルギー生産設備の隣には、麦わら焼却炉がある。ここでは年間8700トンの麦わらを燃やして30GWhの暖房熱を供給している。地下1243メートルにパイプを差し込んで、年間15GWhの暖房熱を生産するデンマーク初の低温地熱発電所もここにある。

3つの発電方式を結合した結果、地域暖房の価格は、石油を利用する際の3分の1にまで減った。ハンセン議長は、「我々の眼の前にあるエネルギー源を活用したおかげでだ。農民たちは麦わらを売って、余分の所得を手にしている」と話した。

●新再生可能エネルギー「使って余るほど」

ティステズが新再生可能エネルギーに関心を持ち始めたのは30年前のことだ。1970年代のオイルショックを経験した後、高価の石油への依存度を下げようという共感ができた。特に、1983年に設立した「新再生可能エネルギーに向けたノルディックセンター」というNPOが、新再生可能エネルギーを巡る研究開発の柱となった。ここは現在、欧州最大のエコ研究所の一つだ。同研究所の原則は、すでに開発された技術や住民の能力の枠組みの中で、周辺に広がっているエネルギー源を活用すること。

成果は驚くべきものだった。ティステズは、必要電力の100%以上を風力やバイオエネルギーなどの新再生可能エネルギーによって生産している。必要電力の80%は、海岸や野原に設置した226基の風力タービンから出る。年間生産電力量は103GWhだ。残りの20%は、産業廃棄物をリサイクルしたり、家庭から出るゴミで作るバイオガスなどから得ている。ティステズの2500世帯と1770の企業が、「自然エネルギー(power of nature)」だけで電力供給を受けていることになる。暖房の80%もこれをもって解決している。

新再生可能エネルギーにより、必要電力を使っても余るからといって、エネルギーを無駄遣いしているわけではない。ティステズは、むしろ省エネにどの都市よりも徹底的に取り組んでいる。一例に、この地域の子供らの登校時間は少しずつずれている。一つの学校が午前9時に授業を開始すれば、周辺の学校は9時20分に授業を開始する方式だ。1台のスクールバスで、全ての生徒を登校させているからだ。

●「第3の産業革命」

米国の著名な未来学者のジェレミー・リフキン経済動向研究財団理事長は、「ティステズは全てのエネルギー源をロシアや中東ではなく地元で手にしている。これこそ『第3の産業革命だ』」と褒め称えた。

しかし、ティステズの炭素ゼロプロジェクトはいまも現在進行形だ。同地域の未来への主要投資事業の一つは、地域のエネルギー生産設備を統合することだ。ハンセン議長は、「ティステズのいたるところの小規模暖房設備やエネルギー生産施設を結合して、ネットワークを作る計画だ」とし、「これを通じて各農家から出るエネルギーの余裕分を体系的に管理し、ほかのところに伝えることにより、農民らに追加の所得を獲得させる方針だ」と語った。



verso@donga.com