国内最大手の民間金融グループ「KB金融持株」の会長ポストの最終候補として選ばれた国民(クンミン)銀行の姜正元(カン・ジョンウォン)頭取が一昨日、突然候補を辞退した。姜頭取を会長に公式に選出するため、7日に開催する予定だったKB金融の臨時株主総会もキャンセルとなった。
金融当局の関係者は先月3日、KB金融の会長候補を確定する会長候補推薦委員会の開催前に、姜頭取に対し辞退を求めてたという。にもかかわらず、姜頭取が辞退せず、社外取締役らが候補推薦を強行すると、金融当局は異例に厳しい調査を行い、姜候補を推薦した社外取締役の不正容疑を詮索した。適法な手続きに基づいて選出された候補が、外圧により辞退したなら、その外圧はいかなる理由であれ、正当化できない上、金融先進化ともほど遠い。
金融当局は先月、KBに対して調査を行ったのに続き、「正常な手続きによるものだ」と明らかにしたものの、受け入れがたい。正常な調査なら、なぜ個人の不正だけ集中的に詮索したのだろうか。金融当局が姜候補を辞退させ、その代わりに座らせようとするKB金融の会長候補は、政権と親しい人物か、金融官僚出身だろうという見方が出回っている。「姜正元追い出し」が、会長候補推薦委の開催前に予備候補の段階で辞退した李哲徽(イ・チョルフィ)韓国資産管理公社社長や金炳基(キム・ビョンギ)元財政経済部企画管理室長を、KB金融持株会長ポストにつかせるためのことなら、それこそあるまじきことである。2人とも、銀行業務には全く経験がなく、適任者ではない。さらに、李社長は、今の資産管理公社の社長としての役目を果たさなければならない人である。その彼が、KB金融持株会長の公募に応募した際、大統領の側近とは姻戚関係の人物だということが、すでに人々の間でうわさされたことがある。
銀行経営陣の独走をけん制すべき社外取締役らが、銀行の経営陣と癒着し、個人的利益を追求するモラルハザードがあったなら、金融当局はいち早く制裁に乗り出すべきだった。当局者自ら仕事を怠った責任を、民間金融会社に擦り付ける旧態も疎ましい。
これを期に、銀行経営陣を選出する方式を変えるべきだ。モフィア(財務部官僚出身をマフィアに例えた言葉)や金融業界の特定人脈が、銀行畑で長い間働いてきた人々を出し抜き、頭取や会長ポストを手にする慣行から先になくすべきだ。姜正元氏をかばおうとするわけではない。金融当局が銀行の頭取を勝手にすり替え、銀行役員を手下のように使う官治金融は、金融市場の人的競争力を下げる主要要因の一つであることを、大統領府も気づくべきだ。政府は「金融先進化」を掲げながら、その実、「金融権力の独り占め」を追求する限り、金融先進化ははるかに遠い。