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「武人への夢は諦めたが…」故崔倍達氏の長男がリングドクターで活動

「武人への夢は諦めたが…」故崔倍達氏の長男がリングドクターで活動

Posted June. 12, 2009 07:28,   

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「アッ」。7日午後、ソウル市内の奨忠(チャンチュン)体育館。新生の総合格闘技大会「武神」に出場したある選手が悲鳴を上げて倒れた。相手選手の頭にぶつかった額は赤く腫れ上がった。選手が目も開けられず苦しんでいると、青いガウンを着たリング・ドクターが現れた。しばらく心配そうな視線で選手をチェックしてから、すぐ手際よく傷口を縫った。リングに復帰した選手を注意深く見守ったリング・ドクターは、別状がないことを確認してから胸をなでおろした。

この日、選手たちの世話をした青いガウンの主人公は、崔グァンボム氏(35)。「極真空手」の創始者、崔倍達(チェ・ベダル、本名=チェ・ヨンイ、日本名=大山倍達、1922〜94)先生の長男だ。9日午前、グァンボム氏を本人が働く京畿道議政府市(キョンギド・ウィジョンブシ)の新谷(シンゴク)2洞にあるベク病院の近くで会った。

●選手らの目つきを見ると、胸が一杯になる

グァンボム氏は整形外科の科長だ。しかし、血筋は争えないものなのか、学生時代から多様な武術を身に付けた。合気道、キックボクシング、テッキョン(韓半島の伝統武芸)などを習い、試合にも出場した。格闘技選手として引き続き活動しない理由を尋ねたら、父親の話が出た。

「父は武術に全てをかけることを望んでいなかったのです。誰よりも武術への愛情が深い人だったのですが、その分、苦痛がつき物であることを知っていたからです」

グァンボム氏の話によると、父親は50歳ごろからひざ、手、脚など痛くないところがなかったという。父親のアドバイスのためなのか、3人の息子は皆、武術を楽しむが、仕事にはしていない。次男のグァンス氏(33)は、大韓シルム(韓国伝統相撲)協会で働いている。末っ子のグァンファ氏(27)は、フィリピンでバリスタの勉強をしている。

格闘技リングドクターの日当は10万〜20万ウォン前後。一日中苦労して受け取る報酬にしては大きくない金額だ。グァンボム氏は、「リングに近づいただけでも胸が騒ぐ。逆にお金を払ってでもやりたい仕事なので、報酬は重要ではない」と話した。彼は、「リングに上がる直前の選手らの目つきを見るのが好きだ」と話した。選手の目つきの中で悲壮さを見るたびに敬虔な心になると彼は話す。

●武人を助けるために奨学会を立ち上げたい

「夫または父親」としての崔先生の姿はどうだったのだろうか。グァンボム氏は父親を「とても優しい人」だったと覚えている。

「父は母と大きなケンカをしたことはありませんでした。子どもにもいつも優しかったですね」

グァンボム氏には夢が一つある。武術がやりたくてもやれない環境にいる人たちを助けるための奨学会を立ち上げることだ。

「父親のように『無敗』の武人もいるけど、たくさんの三流武人もいますよね。私はただ武術が好きでやる人たちがお金のことは心配しないで武術ができるよう、一生を通じて助けたいです」



niceshin@donga.com