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[オピニオン]国民参加裁判1周年

Posted December. 25, 2008 04:58,   

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今年10月、ソウル大学路(デハクロ)のある劇場で、国民参加裁判をテーマとした演劇「ランダム・ピープル(Random People)」が上演された。田舎のベトナム人の嫁が姑を殺害した容疑に対して、陪審員9人が討論により、合意を導いていく評決の過程を描いたものだ。外国人の嫁の悲劇的な人生を陪審員らがどのように見つめるかに、観客の関心が集まった。最初は挙手で評決を早く決めて終わらせるべきだと主張する陪審員もいたが、時間が経つにつれて、陪審員らの姿勢はまじめに変わっていった。

◆この作品は、各陪審員の個人的な成長背景や家庭環境、今までの人生が、評決にどのような影響を及ぼすかに焦点を当てた。陪審員らは、嫁が経験した傷や苦痛に自分らの経験を自分も知らずうちに感情移入させていった。演劇では感情移入は、劇的な興味をそそる要素であるが、実際の裁判では客観的に証拠と情状を考慮するのかが重要となる。尊属(母親)殺害などの容疑で拘束起訴された20代の被告が、昨日、ソウル中央地方裁判で3日間の参加裁判の末、陪審員6対3の評決で無罪判決を言い渡された。「ランダム・ピープル」に劣らぬほど激しい評決の過程を経たように見受けられる。

◆国民参加裁判制度は年末で1年を迎える。「国民の刑事裁判への参加に関する法律」を立法する上で、憲法上の「裁判官による裁判を受ける権利」を侵害するという意見も出た。裁判官資格のない人が、裁判に参加するのは違憲だという主張だった。しかし、うまく運用さえすれば、「裁判官による裁判」精神に傷つけず、司法部を巡る信頼回復を図ることができるだろう。陪審員団の量刑に関する意見を裁判部では参考にするものの、判決は独立的に下す。

◆モデル運営中の同制度は、まだ初期段階に過ぎない。現在、被告人が希望し、裁判所が受け入れてこそ参加裁判は可能となる。今年1年間で223件が申請され、このうち60件のみが参加裁判で進められた。主に殺人や強盗傷害、性犯罪など凶悪犯罪に限られた。88.1%の事件で、裁判部と陪審員の判断が一致したにも関わらず、1審判決への不服の控訴率は88.5%にも上る。参加裁判の人数や誠意、時間、コストに比べ、効果はいまだに大きくないことを示す形となった。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com