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[オピニオン]10年懲役

Posted October. 24, 2008 08:35,   

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裁判所で10年以上の懲役が言い渡されるケースはめずらしい。これはその人物の人生をほぼ破滅に導く重刑だ。韓国の刑法上、法定刑が10年以上の犯罪は、内乱罪、スパイ罪、爆発物使用罪、放火罪、殺人罪と数少ない。この他に、加重処罰や複数の犯罪が重なった場合にも10年以上の刑が宣告されることもある。しかし、今年、懲役10年が言い渡された事案の報道内容をみると、崇礼門(スンレムン、南大門)を全焼させた放火犯、婦女を拉致した強盗、暴力を振るう夫を殺害した妻、未成年者への性暴行を繰り返した再犯者といった凶悪犯ばかりだ。

◆あるウェブサイトで青少年によるものと思われるこんな書き込みを読んだ。「10年以上、刑務所で暮らしている人たちいるよね。そこで何をしているんでしょう。365日ずっと、ぼうっとしているんでしょうか。映画で見たんですけど、サッカーもやって掃除もやって…(中略)資格なんかも取得しているみたいですね?宿も食事も提供してくれるし、技術も教えてくれるし。どこをどう見たら、そこが監獄だといえるのでしょうか。天国ですよ。寝るところがなくて地下鉄駅で眠って凍死する人、お金がなくて飢え死にする人…そんな人もたくさんいるのに。悪い人たちを罰するところがとうしてこんなに立派な取り扱いなんでしょうか」。

◆青少年が映画やテレビドラマで目にする収監者たちの姿に混乱を覚えるのも分かる気がする。収監生活がいろんなプロットと絡み合って興味本位で描かれている場合が多いだけに、10年間、身柄を拘束されるつらさが伝わるはずがない。トランスペアレンシー・コリアが最近、中高校生1100人を対象に行った反腐敗認識調査の結果からは、青少年たちの価値観の転倒と混乱がうかがえる。「監獄で10年を暮らしても10億ウォンを手にすることができるなら、腐敗に手を染めるか」という問いに17.7%が「はい」と答えたという。子供たちがどれほど深く考えて答えたのかは分からないが、気が滅入る結果だ。

◆韓国は今年、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の腐敗認識指数ランキングで昨年より3ランク上がって40位だった。しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国では依然として低い22位だ。世界10位圏の経済力にふさわしくない位置が恥ずかしい。腐敗は単なる罪と罰の問題だけではなく、国家競争力と国家信用度に直結する問題だ。英語で腐敗を意味する「corruption」は「ともに破滅する」というラテン語から由来したという。青少年に腐敗と10年懲役の意味を正しく教えなければならない。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com