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[オピニオン]牛浦沼

Posted October. 23, 2008 09:46,   

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10月下旬の牛浦(ウポ)沼(慶尚南道昌寧)は、夏と秋が混ざっていた。昨年の夏、緑のカーペットを敷いたように水の上を覆っていたウキヤガラ、ヤコモ、ヒシのような水草は、黄金色に枯れて沈んでいた。世界的に珍しい丸いオニバスの葉(直径2メートル)の上に、ヘラサギ、ヒシクイ、アオサギ、シラサギ、ヨシガモのような珍しい鳥類が飛び回り、沼に生命を吹き込んでいた。寒さを避け、シベリアや北満州などから3000キロも飛んできたのだ。冬になれば、約220種の渡り鳥約3万羽が巣を作り、壮観を極める。19日に中国から贈られた天然記念物のトキも、ここに巣をつくった。

◆約2.31平方キロメートル(約70万坪)の広さの牛浦沼は、1億4000万年前、地球の間氷期に、海水の上昇で洛東江(ナクトンガン)が逆流し湖ができた後、徐々に大地が変化する過程で、生成されたという。恐竜が生息していた時代からこれまで、人の手を加えたことのない100%自然の地で、生命体は変わらずに住みかを作り、子孫を繁栄させ、消滅するという「生」を繰り返す。牛浦沼は、珍しい動植物の植物連鎖が生きており、世界でも珍しい生態の宝庫と呼ばれている。植物は、韓国全体植物の10%である435種にのぼり、動物は、鳥類、は虫類、昆虫類を合わせて約1000種にもなる。標本やはく製のない天然の自然史博物館である。

◆沼とそこに住む生命を眺めていると、忘れていた「空気」の存在を感じるかのように、人間の生命も巨大な自然の一部であり、人間が生きることが、動植物の「生」と別段変わらないという気がしてきた。永遠と刹那、千態万状と無念無想が共存する牛浦沼の前に立てば、誰もが哲学者になる。

◆人間の世界で、「沼」という単語は不安を暗示するが、自然の沼は、肝臓や肺のように自浄作用のある治癒空間だ。10月28日〜11月4日、慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)では、この治癒空間である沼を保存するために、ラムサール条約第10回締約国会議が開かれる。1971年、イランの小さな都市ラムサール(Ramsar)で始まってから、日本に続きアジア地域では2度目だ。韓国では、牛浦沼、順天(スンチョン)湾、務安(ムアン)干潟など11ヵ所がラムサール条約による保存湿地に登録されている。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com