今年に入り、ソウル市内で経営難で休業に追い込まれた飲食店は3600店以上に上る。営業している食堂も小麦粉などの食材の価格高騰で採算が取れず、もはや虫の息だ。
米国産牛肉をめぐる「狂牛病怪談」に鳥インフルエンザ(AI)騒ぎまで重なり、外食産業の自営業者たちは絶望の淵に立たされている。
「97年の通貨危機以来最悪の業況感」という悲鳴はもはや大げさとはいえない。自営業の崩壊のため、飲食・卸売り・宿泊業で1年3ヵ月間で31万9000人の雇用が消失した。4月の新規就業者数は19万人と政府の目標値(35万人)の半分をやっと上回っている程度だ。
物価の急騰で国民の家計はさらに厳しくなった。政府は庶民生活に直接の影響を与える52の生活必需品を指定し、価格引き上げの取締りを始めたが、消費者物価は天井知らずだ。三星(サムスン)経済研究所の今年第1四半期の消費者態度調査によると、対象世帯の99.1%は「物価上昇を肌で感じている」と答え、41.4%は「消費支出を削減した」と回答した。自営業の没落と雇用情勢の停滞、物価上昇、消費萎縮などがあいまって、景気を冷え込ませ、国民の暮らしを圧迫する悪循環に陥っている。スタグフレーション(景気後退と物価上昇が同時に発生する局面)という最悪の状況まで懸念せざるを得ない状態だ。
李漢久(イ・ハング)ハンナラ党政策委議長は昨日、「2〜3ヵ月内に物価急騰による深刻な危機が到来する恐れがある。このままだと、庶民生活は深刻な打撃を受ける」と懸念した。懸案が山積みなのに、政府レベルの経済政策の調整役である金仲秀(キム・チュンス)大統領経済主席は、どこで何をしているのかという嘆きが大統領府から上がっている有様だ。政府与党は内外の経済環境が急速に悪化し、実体景気が冷え込んでいるにも関わらず、補正予算の編成や減税、規制緩和法案などをめぐって歩調が乱れている。政策施行のタイミングを逃した政府・与党の高位当局者たちの罪も大きい。
李明博(イ・ミョンバク)政権は「経済回復」を掲げて発足したが、国民の暮らし向きは決して好転していない。李大統領の支持率急落にはいくつかの原因があるだろうが、経済立て直しへの能力の限界をあらわにした今こそ、「危機局面」という切実な認識のもとで経済安定に政権の命運をかけなければならない。中国を国賓訪問する李大統領はもちろん、国内に残っている経済官僚や与党議員全員が経済の安定に総力をあげなければならない。






