先日、進歩団体の民族文学作家会議が名称から「民族」という字を削除しようとしたが、メンバーらの反対に遭って取りやめたことがある。ある関係者の話が面白い。外国の団体と一緒にビジネスをしようと思って、団体名を英語に訳して送ったが、先方では「民族(National)」という言葉が入っているのを見て、極右団体ではないかと否定的な反応を見せ、名称変更の必要性を痛感したという。民族という言葉が進歩や極右という、正反対の価値として認識される現実を端的に示している。
◆歌手兼プロデューサーの朴ジンヨン氏(35)が世界に広がっている韓国文化商品から「韓流」という国家ラベルを外すべきだと声高に主張した。16日、米国ハーバード大学のケネディー・スクールで開催される韓流関連フォーラムを控えて行ったマスコミ向けのインタビューでの発言だ。朴氏は、「最初はこれといった形すらなかった韓流がなぜ、民族主義的な性向を帯びて『韓国万歳』になったのかわからない」と語った。韓流のなかに染み込んでいる民族概念の過剰さが周辺国の反感を招いており、かえって文化輸出の妨げとなっているというわけだ。
◆97年、中国でドラマ『愛っていったい何なの』によって吹き始めた韓流ブームは、映画や音楽、エンターテイメントに領域を広げ、いまやアジアを越えて全世界にその勢いを拡大している。さらには北朝鮮にまで「浸透」したという。その影響で大学に韓流関連学科や博士課程までできたという。政府が韓流商品の輸出に金融支援ができるように法律の改正に乗り出し、銀行や各企業では我先に公演の支援やドラマ制作に金を投資している。
◆しかし、韓流ブームが今後も続くという保証はどこにもない。昨年、計208本、2451万ドル分の映画が輸出されたが、前年と比べると68%も減少した数値だ。本格的な衰退ではないまでも「小康状態」には間違いないとの診断も多い。理由はさまざまだろうが、朴氏が主張する「民族過剰」もその一因だろう。何事も行き過ぎたら反感を買うものだ。韓流が寒流にならないようにするためには、何より排他性を警戒しなければならないだろう。
李進寧(イ・ジンニョン)論説委員 jinnyong@donga.com






