全羅北道全州市(チョンラブクド・チョンジュシ)のあるマンションで、町内の代表を受け持っているチェ(48・女)さんは、今月初め、久しぶりに会った友達と夕食を上の空で食べて別れた。5・31地方選挙に出馬するその友達の夫が、約束の場所に一緒に来たからだった。チェさんは、「不本意に候補者にご飯をおごってもらって過料を課されるのではないかと心配で、急いでご飯代を支払って、逃げるように食堂を出てきた」と話した。
今回の地方選挙で政党の公薦献金をめぐる波紋があったものの、一般の消費者にお金をばら撒いて接待を提供するといったかつてのような「お金の選挙」の兆しは、あまり現われていない。もし違反すれば、提供を受けた金品の50倍の過料を課されるという、「間違えて食べては、さらに吐き出さなければならない」制度のためだ。
▲50倍の過料の威力?〓今回の選挙では頻繁な世論報道のためか、一般有権者の間でも「間違えておごってもらっては、大恥をかいて、さらに巨額を取られる」という認識が広く拡散している。
大田(テジョン)市のある地方自治体候補は、「最近はお婆さんも『私に何かをくれるなよ。50倍を取られちゃうから』と言っているほどだ」と話し「法律をよく作ったものだ」と述べた。慶尚北道義城郡(キョンサンブクド・ウィソングン)の70代の有権者、パクさんも「4年前の組合長の選挙の時まで、候補側からお金の入った封筒を持ってやってきたが、今はお金をくれと言う人もいない」と雰囲気を伝えた。
50倍過料の様相は多様だ。食事の接待は基本だが、この他、カラオケ費用を支払ってもらったり、定価8000ウォンの詩集を1000〜4000ウォンぐらい安く購入したり、開業式で8000ウォンの植木鉢を何気なくもらったりしたため、巨額の罰金を納めなければならなくなった。
全羅南道羅州市南平邑(チョンラナムド・ナジュシ・ナムピョンウプ)では、今年の旧正月に、市議員1人から一気に289人が1万9000ウォンのお酒を1本ずつプレゼントしてもらって摘発され、計2億7000万ウォンの過料が課される予定だ。
中央選挙管理委員会(選管委)によれば8日現在、全国的に41件が摘発されて、6億7651万ウォンの過料が賦課された。
反対に、候補者は支持者の寄付行為を引き止めるのに熱心な姿も見えている。慶尚南道(キョンサンナムド)のある地方自治体長候補側は、支持者たちにたまに選挙事務所の運営費に使ってほしいと3〜5万ウォンが入った封筒を渡されると、「お餅か飲み物で持ってきてもらいたい」と拒んでいる。いくら少ないお金でも借用証のような証拠資料を備えなければ、不法政治資金とみなされ、当選しても後で選管委の実態調査で摘発されると、当選が無効になるためだ。
▲候補者たちのお金の遣い道は?〓大田市のある地方自治体長候補は、「政党公薦をもらった候補なら『前の部屋』と『後ろの部屋』の費用がほとんど同じと見れば良い」と打ち明けた。予備選挙の費用と以後の本選費用が概ね同じだということだ。地方団体長の法定選挙費用が、大体1億5000万〜3億ウォンという点を勘案すれば、3億〜6億ウォンかかるわけだ。
選挙にかかるお金の問題は、主に予備選挙の費用から発生する。予備選挙に備えて党員を募集し、組織を管理する上で少なくない費用がかかるというのは公然の秘密だ。全羅南道(チョンラナムド)のある地方自治体長候補側は、「予備選挙の時、お金を要求するブローカーが少なくない」と述べた。
実際に選管委が摘発した金品提供事例も、予備選挙の時に党員を動員する過程で、食事代か交通費を提供したのがほとんどだ。組織稼動費に加え、表に出ない公薦献金まで計算すると、多くの費用がかかったものと推定される。
大邱(テグ)市の無所属市議員候補は、「予備選挙に選挙資金の70〜80%を注ぎ込んだ候補が、公薦をもらった後は、いざ選挙に使うお金がなくて苦労している」と伝えた。
一応予備選挙で当選し予備候補登録をすると、選挙費用は大きく制約され、15%以上得票すると後で国庫から補填してもらえる。
ハンナラ党の趙暎奎(チョ・ヨンギュ)慶尚南道咸安(ハムアン)郡首候補側は、3月19日に予備登録をした後8日までで、法定選挙費用1億1300万ウォンのうち、名刺、選挙事務所の看板、垂れ幕の費用など約1700万ウォンを使ったとホームページに公開した。趙候補側は、「選挙運動期間になると、選挙遊説車両や運動員の人件費などで1億ウォンをはるかに越えそうだ」と述べた。
趙候補のような一部の候補者たちは、中央選管委の候補者ホームページに、毎日選挙費用の収入・支出の内訳を公開している。選管委の徹底した実態調査も後で行われる。






