H社の最高経営者(CEO)は創業者から創業者の弟、創業者の甥、創業者の息子へと移ってきた。それに対して、Y社は我が国で専門経営人体制を一番先に取り入れて定着させた企業として知られている。一部の経済教科書の教え通り、専門経営人体制がオーナー体制より優れているとすれば、Y社はH社より成功した企業でなければならない。しかし現実はそうではない。78前に設立されたY社は2002年1年間で2850億ウォンの売上げを上げており、457億ウォンの純利益を出した。その半分にも及ばない37年の歴史のH社は、同年26兆3369億ウォン分の自動車を販売して1兆4436億ウォンの純利益を出した。
◆Y社は「まじめな納税」と「企業利潤の社会還元」など公益性の強い企業理念を追い求める。一方、H社は「世界一流の自動車メーカー」という私益性の強い企業ビジョンを持っている。だとすれば、Y社はH社より国民経済により多く寄与しているのであろうか。Y社は輸出が些細な反面、H社は02年に12兆1824億ウォンの外貨を稼いだ。また、H社はY社より12倍も多い5399億ウォンの法人税を納めた。「最高の福祉」という雇用創出面でもH社の寄与が遥かに上回る。従業員数はH社がY社の45倍。H社の各納品メーカーが創出する雇用は80万を超える。
◆大韓商工会議所の朴容晟(パク・ヨンソン)会頭など経済5団体の長が一昨日、中・高校の教師200人を相手に経済教育に関する特講を行った。朴会頭は「企業の目的が富の社会還元だと教えてはならない。企業はまず付加価置を新たに生み出すのが社会に寄与する道だ」と強調したという。また、朴会頭は小中高校の経済教科書に誤った経済認識を植え付ける内容が64ヵ所もあると指摘した。
◆Y社は確かに必要な会社だ。賛辞を受けるに値する資格も十分だ。しかしすべての企業にこうした物差しを突きつけると、企業活動を萎縮させる不必要な規制が生まれる。事業多角化を「タコ足式の拡張」とし、悪く見る一般的認識も同様だ。すべての企業が専門化にだけ拘ったなら、韓国で世界的な半導体産業や造船産業は発展しなかっただろう。三星(サムスン)グループもせいぜい世界最高の纎維会社、それとも砂糖会社で満足しなければならなかったはずだ。
千光巌(チョン・グァンアム)論説委員 iam@donga.com






