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[オピニオン]ジョージ・オーウェル誕生、100周年

[オピニオン]ジョージ・オーウェル誕生、100周年

Posted June. 24, 2003 22:13,   

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暫くドッキリカメラが世を騒がせたが、最近はカメラフォン(携帯電話に付着されたカメラ)がその役を受け継いだようだ。血気旺盛な思春期の生徒たちが、教師が体罰する現場をはじめ、女教師や女子生徒のスカートの中を隠し撮りして取り沙汰にされている。とうとう銭湯やプールなどでカメラフォンの持ち込みを規制する法案が検討しはじめられた。だれかがどこかで自分を見張っている、ということはいつからか疑いのない事実として受け入れられるようになった。100年前の今日誕生したジョージ・オーウェルの小説「1984年」中のビッグ・ブラザーが、公権力による監視体系からもはや個人による個人の監視にまで拡散しているのだ。

◆オーウェルは権力そのものを徹底して否定した自由人だった。資本主義とその極端である帝国主義、そして共産主義にも反対した。小説「動物農場」と「1984年」は韓国では反共文学のように紹介されているが、実際は時代と社会背景を超越した全体主義体制を目指す全ての権力に対して、痛烈な風刺を効かした作品として読まれている。言葉と行動が全て監視される北朝鮮はもちろん、個人情報を中央管理する電子政府もこれに代入することができる。テロとの戦争という大義名分で中東系移民者の私生活を束縛する米国も、例外ではない。

◆オーウェルは、世の中の本質を洞察する慧眼に劣らず新造語を作る能力にも長けていた。オックスフォード英語辞書によると、冷戦(cold war)という言葉を最初に使ったのも彼だった。「1984年」の公式言語である新語(newspaeak)は、人々がなるべく頭を使わずに喉だけで話すように歪曲するのが特徴だ。「自由と平等の概念に属する全ての言葉」を意味する「罪思想(crimethink)」という新語のために、今では「同じ(equal)」という単語が政治的に平等だという意味が含まれていることを理解しないようになった。「政治言語とは、嘘を真実のように聞こえるようにデザインされたもの」とした彼の信念は、今の現実社会でも適用される。「価格引き上げ」の代わりに「価格現実化」と話すようになったことや、強硬労組にひれ伏したという言葉の代わりに「対話と妥協」をしたのいうのが、その例である。

◆ビッグ・ブラザーと統制権力を憎んでいたオーウェルも、ある女性の愛を得るために英情報調査局に協力していたことが、遅ればせながら明らかになり、誕生日をさらに「豊かな」ものにしている。シリア・カーワンという美貌の情報調査局情報要員の要請でチャーリー・チャプリンやE・H・カーなど、共産主義と見られる人物38人のリストを作ったと、最近英紙ガーディアンが報道した。それも死を迎える1年前にそんなことをしたのだから、どうやらいかなる信念や価値よりも、重要なのは愛ということなのか…。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com