17日、釜山(プサン)で銃撃を受けて死亡したロシア極東のマフィア組織ヤクト派のボスであるナウモフ・バシリ(54)が、昨年ロシアの国境守備隊の将軍を殺害した疑いで、これまで公安当局の追跡を受けてきたことが明らかになった。
ロシアのボリス・グリジュロフ内務長官は21日、極東地域を緊急に訪問した席で、「バシリ氏は昨年5月、サハリンの国境守備隊の責任者であるバレリ・カモフ将軍殺害事件の有力な容疑者だ」と明らかにした。カモフ将軍は、自分の官舎のマンションで火炎瓶攻撃を受けて死亡し、夫人も重症だ。
極東一帯の水産物密輸組織の中で最も影響力が大きく、現地で「ルイブニイカロル(魚の王)」と呼ばれるバシリ氏は、国境守備隊の取締りが厳しくなると、これに対する報復としてカモフ将軍の殺害を指示したとされる。
彼は捜査が進むと日本に逃げ出し、昨年12月に韓国に潜入した。 釜山で一緒に銃撃を受けたグボズド・ニコライ(39)は、バシリ氏の「心腹」として知られている。
バシリ氏は昨年11月、東海で起きたロシアのトロール網船トルン号拉致事件にもかかわっていると、ロシアの日刊紙ブレミャ・ノブステイが報じた。トルンは当初、海賊に拉致されたとされ、ロシア太平洋艦隊と日本海上自衛隊の艦艇が出動する騒ぎとなったが、結局ロシアの水産会社同士の紛争による事件であることが明らかになった。
ブラディボストクとユジュノサハリンスクなどを訪問したグリジュロフ長官は、「昨年モスクワ・アルバト通りで銃撃を受けて死亡した極東マガダン州のバレンティン・ツベトコフ州知事殺害事件も、極東地域の水産物の利権をめぐる紛争と関連があると推定される」と話している。グリジュロフ長官は官営ロシア放送との会見で「すべては魚のためだ」と述べている。
一方、ロシア人銃器殺害事件を捜査している釜山・影島(ヨンド)警察署は22日、犯人に対する決定的な手がかりが見つかっていないうえ、被害者が供述を拒否しているため、捜査が難航している。
警察によると、ニコライ氏は手術を受けて回復したものの、口を開いておらず、バシリ氏と水産物事業の同業者であるカルゴポロブ・アレクセイ(27)も黙秘権を行使したために、取調べ後に帰らせた。
警察は犯人が出国した可能性に備え、モンタージュをもとに金海(キムヘ)空港と仁川(インチョン)空港のカメラの画面を検索する一方、ロシア警察の協力に期待している。
金起顯 kimkihy@donga.com mobidic@donga.com