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21世紀のアメリカを率いる新しい政治理念は何か?

21世紀のアメリカを率いる新しい政治理念は何か?

Posted November. 29, 2002 23:25,   

「政治の未来」という題目は、原書では副題で使われた。元々の題目は「The RadicalCenter」。この本に初めて接したのは今年の春だった。日ごろ、ニューヨークタイムズ紙のブックセクション書評を見て本を購入する先輩が、「いい本があるからぜひ読んでみてくれ」と勧め、この本をくれた。この前、 「アメリカン・パワーの逆説 — なぜ唯一の超大国は一国でやって行けないか」という題目で翻訳出版され広く読まれたジョセフ・ナイの「The Paradox of the American Power」のように、論旨が明確でありながらも歴史的洞察力を持ったさわやかな感じのする本だった。

「センター」という言葉は中途派を意味する。中途派の前に付けた「ラジカル」という言葉が興味深い。左派や右派の前にラジカルを付けた場合はよく目にするが、中途派にラジカルを付けた場合はほとんどない。一見似合わないように見える二つの単語の組合せを通じて、著者たちは、これからは中途派もラジカルにならなければならないと主張する。1960年代が左派、80年代が右派の時代だったとしたら、これからは中途派の時代だ。著者たちは「新しいアメリカ(New America Foundation)」という名前の民間タンクに属しているが、この組織は既存の左と右、民主党と共和党のどちらにも属してない。

今日、国家間の競争は、技術開発の競争だけでなく制度開発の競争も重要になっている。世界で最も先を取っていると言われるアメリカも、変化する現実と制度の間の不一致を深刻に経験している。著者たちの目には、アメリカはニュー・ディール(New Deal)時代の制度的骨格から一歩も進めないでいるのだ。

両党制にもとづいた最多投票制がその代表的事例だ。アメリカはフランスやドイツとは違って、最多得票制を採択している。2人が対決する選挙なら、最多得票制がこれといった問題にならない。しかし、3人以上が競い合う選挙では、過半数の票を得られなかった場合にも最多票を得たら勝利する。2000年の米大統領選挙で問題となったのがまさにこれだった。当時、出馬した消費者運動家のラルフ・ネイダーの支持者の大半がアル・ゴア候補を好んだ可能性が高かったが、ネイダー候補がゴア候補の票を吸収したことから、結果的にはジョージ・W・ブッシュ候補の当選を助けることとなった。同じく、1992年選挙では、ロス・ペローがブッシュ(父)の票を吸収し、ビル・クリントン候補を当選させた。アメリカが国民の真の選択をより正確に反映させる選挙制度を施行していたなら、1992年選挙でブッシュ(父)が当選したかも知れないし、2000年選挙ではブッシュ(息子)が敗北したかも知れない。

最多投票制の落とし穴は韓国にも適用される。1997年選挙では、金大中(キム・デジュン)候補が30%代の支持で大統領に当選した。金大中執権5年の特徴は、少数派が政権をとったことからもたらされた政治的無能だった。

最近、盧武鉉(ノ・ムヒョン)と鄭夢準(チョン・モンジュン)候補間の候補一本化をめぐって 野合論議があった。このような人為的な「プレーオフ」を問題視する前に、過半数の支持を得る政権を誕生させる制度を模索する時ではないのか。

著者は大きく見て、決戦投票という制度の導入を主張する。決戦投票のメリットは、第3、第4政党の出現の障壁を取り除けると同時に、極端な左派や右派が掌握する政党が、わずかな票を得ても最多得票という理由で当選することを防ぐことができるという点だ。

韓国でも頭を抱えざるを得ない税制、小中高教育制度、健康保険制度、年金制度などに対する著者の言及はもっとラジカルだ。それは、左派や右派の概念の枠の中でラジカルなものでなく、その概念の枠を超えるという意味で中途的かつラジカルであるのだ。それはすなわち、新経済という、ニュー・ディール時代とは根本的に変わった環境での新しい制度模索だ。

提案の一つ一つは、時事に関心の多いアメリカ人に慣れたものかも知れない。著者の強みは、むしろこのような提案をアメリカの制度が発展してきた歴史の軌跡の中から見せてくれることにある。例えば新経済下で貧富の格差がひどくなっている。アメリカは歴史的に貧富の格差をどのように解消してきたか。19世紀には自営農地法(ホームステッド法)があって、20世紀には住宅融資利子に対する税金控除制度があった。そしたら21世紀にはどんなプログラムが必要なのか。という式だ。

ロバート・ライシュ元労働長官は、ニューヨークタイムズ紙の書評でこのように評価した。「本書は底から崩壊しているアメリカのシステムに対して有用な洞察力を提供している。」



宋平仁 pisong@donga.com