「欧州でサッカーは民族主義(nationalism)を容認できる最後のフォーム」
英国では国旗のユニオンジャックを振るのは極右的な行動として見なされる。ユニオンジャックは過去の帝国主義時代の人種主義と殖民主義の象徴。英ブレアー首相が97年、首相執務室が構えているダウニング街へ初出勤する時、ユニオンジャックを持った支持者と共に街頭行進をして、厳しい批判を浴びせられたのもそのためだ。
米国のインターネット雑誌、スレートドットコムは20日、「しかし、サッカー競技場だけではこの全てのことが容認される」と報道した。7日のワールドカップ競技で、アルゼンチンとイングランドが激突した時、「お前らの海軍はどこだ」とスローガンを叫んだのは、フーリガンだけではなかった。82年フォークランド戦争の当時、英国がアルゼンチンの海軍を撃破したことを思い浮かばせるこのスローガンは、サッカー競技場の外ではとうてい想像することすらできない国家主義的な表現とみなされる。
サッチャー元首相は、首相在任の時、サッカー試合で英国がドイツに破られたとの話を聞いて、「彼らは『我々のゲーム』で我々に勝ったかも知れないが、20世紀に入って『彼らのゲーム』で我々は2度も勝った」と述べたと、同誌は伝えた。これは英国がサッカーの宗家であり、第1、2次世界大戦でドイツに勝ったとの国家的な自負心が盛り込まれている発言。しかし、この発言でドイツ人が激怒したとの報道はなかった、笑い飛ばしていたのだ。
ナチズムのうねりを経験してから、国号を叫ぶことそのものをタブーとしているドイツ人も、サッカー競技場だけでは「ドイツ!ドイツ!」と叫ぶ。
サッカーはドイツの通貨マルクと共に、戦後ドイツ復興の象徴。昨年末、W杯地域予選でドイツがイングランドに1対5で破られた時、進歩傾向のある日刊紙のコラムニストは、「戦後ドイツの復興を象徴していた二つがともに姿を消すようになった」と残念がった。マルクはユーロの通用と共に歴史の彼方へ消え去った。
ドイツのシュレーダー首相は、総選挙を控えて厳しいスケジュールをこなすなかでも、自国チームのW杯試合だけは欠かさずに視聴している。90年のW杯でドイツが優勝した後、コール前首相が再任にこぎつけたのを念頭においているようだと、同誌は伝えた。
サッカーが愛国心と民族主義を発散できるほぼ唯一のルーツとなっている理由について、英国の週刊誌、エコノミスト(1日付け)は「欧州の国々が欧州連合(EU)を通じて、一つの欧州を目指すため、愛国心と民族主義が頭をもたげるのを押さえており、他の所では表出しにくいため」と分析している。
サッカーが民族主義と愛国心を鼓吹できるもう一つの理由がある。米国が苦手なほぼ唯一のスポーツであるためだ。スレートドットコムは、「もし、米国がオリンピックと同じく、サッカーでも圧倒的な優位を占めるなら、世界各国の民族主義は反米感情に飛び火する恐れがある」と予測した。
同誌は、さらに「米国は欧州とは違って、愛国心をあおるチャンスが他にも多い」とし、今回のW杯で米国がこれ以上勝たないことを希望した。
洪銀澤 euntack@donga.com






