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[コラム] 失業者に対する対策が必要だ

Posted November. 08, 2000 16:26,   

大量失業問題の恐れが再び国を揺るがしている。早ければ年末で失業者が100万人にのぼり、再び生活の困難による犯罪が猛威を震い、ホームレスが町中にたえないなど社会解体の危機が再現する可能性が出てきた。

失業者100万人時代の予告

去る3年間、韓国経済を引っ張ってきたと言われる政府と企業界は果たして中身のある経済の運営をしてきたのであろうか。もし、そうであるならば国民が再びこうした失業と貧困のどん底にはまることはなかったはずだ。結局、韓国は3年前の経済危機という歴史的な経験から何1つ教わったことがないという自壊心すら覚える。

経済危機が最悪の状態に達したが故に失業者が増え、ホームレスが殺到した1998年初期。国際通貨基金(IMF)など外国機間の専門家らが韓国に来て最も驚いたことは、「韓国のような規模の経済を維持していた国で、ここまで社会的な安全システムが不実であっていいのか」という点だったといわれる。しかし、3年がすぎた現在、改めて経済危機に迫られている韓国の社会安全システムの現実はどうなのか。

社会安全システムが存在すべき理由は、何よりも資本主義の経済で週期的に繰り返されている失業問題と貧困という社会問題を‘個人’よりも‘社会’が主体となり責任をとって解決することにより、社会共同体の一員という市民として権利を与え、これに基づき社会統合を果たせられるという面である。しかし韓国の社会安全システムの基になる社会保険制度を見ると、社会統合を図れるどころか国民を‘二種類の国民’に分けている感を拭いされない。

即ち、社会保険の適用を受けることにより高齢、失業、疾病、産業災害のような社会的な危険にある程度対処できる国民と社会保険制度から排除されたことにより社会的な危険に陥る場合、即、家計破綻と絶対貧困層へと成り下がってしまう国民だ。

7月から雇用保険制度と産災保険制度の適用対象が5人未満の事業場まで拡張されたが、まだ非正規職勤労者のうち、相当たる数が社会保険制度から排除されている。さらに1年未満の前職失業者の82.1%に該当する非正規職勤労者らに対して、社会保険制度の適用は至急な解決を要する重大な問題だ。したがって現行の社会保険制度が続く場合、結局貧困層を保護すべきであるという根本的な目的を妄覚したまま、豊かな層を優先的に保護する跛行的な制度として固着してしまうだろう。

社会安全システムを果たすためのもう一つの軸として、一定水準以下の生活により苦労している人々を対象とした公共扶助制度がある。しかし10月から実施されている国民基礎生活保障制度も選定基準が難しい故に、制度の恵沢を受けられない人が存在するなど、至急なる補完策が必要だ。特に国民基礎生活保障制度の受給権者を主な対象とする医療保険制度は、勤労能力がある条件付きの受給者にとっては、医療機関の利用の際、自己負担金を払われるなど、前近代的な公共扶助制度から一歩も進んでいない。

政府は生産的な福祉が新たな国政指標であることを天命し、福祉制度の改革を推進してきたが、経済危機に対処できる水準の社会安全システムは‘まだまだ先の遠い話し’であるという現実を認めなければならない。こうした現実から進むべき方向は明らかだ。

社会保険 ー 公的扶助改善が切実

社会共同体の指導原理である憲法精神へ戻ることだ。政府は国民が憲法で規定した「人間らしい生活をする権利」を実質的に行使できるよう明確かつ実現可能な計画を制度ごとに樹立し、これに踏まえて制度的な改善を絶えず実践すべきだ。特に経済が多少回復したかと思えば社会福祉制度の縮小を通じた財政の健全化と競争力の強化を主張するかと思いきや、再び経済が成り下がり失業者が増えると社会安全網を構築するといった悪循環は繰り返すべきでない。

企業整理とそれによる大量失業の余波は、韓国社会において絶対的に不足している連帯意識が回復されなければならないことを物語る。

改めて経済危機が韓国社会に与える教訓は、ウワベだけのフェティシズムと無限競争だけが最高の徳である「ジャングル資本主義」から、遅れた人とともに生きていく連帯意識に基づいた「微笑ましい人間の顔をもった資本主義」を建設する方向へと転じることだけが経済危機の克服と社会統合に基づいた経済繁栄を果たし得る唯一の道であると言えよう。