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[コラム] 国内の政治から充実に

Posted September. 15, 2000 13:16,   

最近、南北関係の展開を見て、言動に責任を持っていない人々は、全てが金大中(キム・デジュン)大統領が10月頃発表されるノ−ベル賞を狙っているものだという話をよく口にしている。もどかしさから出た話だと思われる。自分の個人的な動機から、南北関係を納得し難い方向へ持っていくと判断したかったようだが、一国の大統領たる者がそんな考え方を持っているとは到底考えられない。もし、自分の狙い通りになって、ノ−ベル賞を受賞すれば、それは当然祝うべきことだろう。しかし、そのような不満の根底には韓国政治家への深い不信感や、国家の安否への心配がが据えられているという事実を見逃してなならない。

そもそも外交とは、国家内部での力と考え方の結束が前提にないと成功し難いということは、既に常識になっている。その点から見て、韓国政府の対内統治行為には懸念すべきものが少なからずあるようだ。

まず、市場経済主義を標榜した政府として、それにふさわしい基本条件を整えるのにどの程度関心を傾けてきたかを問いたい。産業社会で自律性を中心にする市場経済を維持していくためには、何よりも政府のサービス機能が透明かつ合理的に強化されなくては、到底効率性を期待できないだろう。韓国戦争以降の最大国難として規定された外換危機は単に外換の問題だけではなく、開発時代の遺産として伝えられてきた政府機能を全面的に改革すべき問題だった。しかし、残念ながらこれは政治論理に追われ、未だにはっきりした路線を持たないまま残っている。

日常の食卓にのぼる食べ物さえも安心して食べられなくなったことを、誰が些細な問題だと言えるだろう。医療大乱の原因提供者は誰だろう。断食ストまでを辞さずに貫徹した地方自治が、このような環境を破壊するためではなかったはずなのに、今はどうなっているのか。民主主義が国民のお金を効果的に管理することをその目的にしているとの事実を誰よりも知っているはずの金大統領が税金から助成された政府のお金を今、どこに使っているのか。

権力的な利益の追求へ統治力が集中する一方、日増しに熾烈になっていく国際競争の中で全般的な競争力が低下する理由が政治の誤りに起因することは深刻に再考しなければならない。内政に対する現在の政治力で、外の南北問題を他の方向に持っていくとしても、効果的な結果をもたらをことは至難の技だと言えるだろう。

南北問題が極めて重要な国家的な問題であるため、その問題に解決の糸口が見えてきたかと思ったら、たとえ、それが形式的なものに過ぎなくても非常に大きな感情的な反応をかき立てることはやむを得ないとしよう。しかし、それで他の問題を曖昧にできる状況ではあるまい。緊張緩和が目標だといって、離散家族の北側訪問団の代表との接し方が'国家的な恥じ'であることを知りながら何も言わずに沈黙で見守るなら、その真の意味を推し量ってみる必要があると思われる。

金大統領の言葉通りに、北朝鮮がアメリカを通じた韓国の封じ込みが出来なかったので首脳会談に応じたとの指摘も正しいと思う。現在は韓国を以ってアメリカを制する方向に転じたようだ。その政策と対応政策がうまく当たって首脳会談が可能になったのに、その結果、韓国の方に逆に日が当たっているような雰囲気はいかにも逆説的な現象と言わざるを得ない。共産主義者を公言しながらも、金正日は自分の力が労働者からではなく軍事力から出ていると述べ、北朝鮮のある高級幹部は食糧で人民を統制しているとも言った。その軍事は現在、地上最大の常備軍である。その上、その権力体制は人類の歴史上、もっとも完璧な軍事的全体主義だとの事実は誰も否認出来ないことだ。そんな相手に韓国は今、朝貢同様の条件抜き賄賂外交で力だけを与えている。

金大統領の言葉通りに、2、30年もかかるべき仕事に対して、性急な批判を持ちかけているとの声があるかも知れないが、韓国を以ってアメリカを制する北朝鮮の目標を韓国政府が知らないはずがないとしたら、なぜ、北朝鮮の言いなりになっているかは本当に理解出来ないことだ。この全てが、万が一、政権再創出のための手を打っているのではないかという指摘に政治家達は関心を持たなければならない。