Go to contents

韓国人5人に向けた代表チームの挨拶

Posted November. 16, 2020 09:45,   

Updated November. 16, 2020 09:45

한국어

14日(現地時間)、韓国五輪サッカー代表チームとブラジルの23歳以下の親善試合が行われたエジプト・カイロのアルサラームスタジアム。1-3で敗れた韓国選手たちは疲れた気配がはっきり感じられた。来年の東京オリンピックで優勝候補に挙げられる強豪のブラジルを迎えて、先制ゴールを決めてから逆転負けした物足りなさが大きく見えた。

重い表情の選手たちがロッカールームに戻ろうとしていた時、スタンドから「よく戦った」という韓国語が聞こえた。5人の韓国人の応援団だった。この日の試合は、元々新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)拡散の懸念のために、観衆無しで開かれることになっていた。ところが駐エジプト韓国大使館の要請に応じて、エジプト政府が最大で5人までの観覧が可能であると知らせてきた。韓国大使館側は、先着順の募集でこれらの韓国人に観覧の機会を与えた。

3万人を収容するスタンドには、彼らを含めて40人しかおらず、静まり返っていた。観客席を満たした人は、エジプト、ブラジルサッカー協会の関係者たちだった。彼らの中でマスクをつけていた人はほとんど見られなかったが、韓国人たちは防疫上注意を守らなければならならないとして、全員マスクを着けていた。主催側から声に出して応援してもいいという確認を受けてから、彼らは試合中に熱心な応援を繰り広げた。

韓国人同胞のイム・ジウンさん(37)は、「最近、面白いことがなかったが、韓国サッカー代表チームが来ると言われて、嬉しくて応援に来た」と話した。彼女は代表チームのシュートが相手ゴールネットを少し外れるたびに、「いや、惜しい」を連発した。会社員のハン・ジウ氏(37)も、「エジプトで韓国の試合を見られるとは、全く思いもよらなかった」と陽気な声だった。同胞のカン・ミソンさん(26)は、「数年間、エジプトで住んでいて、韓国チームを見る機会がなかったが、勝敗を離れて最善を尽くすことを見ると、同じ韓国人として誇りを感じる」と語った。

彼らの歓声に、代表チームの選手たちは足を止めて、突然一列に並んだ。そして、一、二、三の掛け声を上げてから一斉に頭を下げた。5人だけの応援団のためだった。この応援団は拍手で応えて、「本当によくやった」と話した。サッカースターのぺク・スンホは、同い年のファンと明らかにした会社員のキム・イェジン氏(23)に試合中に着ていたユニフォームをプレゼントした。

エジプト内に居住する韓国人は約800人ほどだ。現地在住の韓国人もいるが、その多くはアラビア語を学ぶ留学生と韓国企業所属で派遣されてきた駐在員たちだ。懐かしい故国を思い浮かべる行事や交流が多くない彼らに、選手たちは感激的なファンサービスをした。たとえ試合では負けたが、満足そうな顔でスタジアムを去るミニ応援団にとって、勝敗は大きな意味がないように見えた。太極戦士たちが応援団に向かって渡した最後の挨拶は、彼らに永遠に忘れられない思い出として残るだろう。


林賢錫 lhs@donga.com