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憲法機関の監査院長まで揺さぶる巨大与党の横暴

憲法機関の監査院長まで揺さぶる巨大与党の横暴

Posted July. 31, 2020 08:25,   

Updated July. 31, 2020 08:25

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与党「共に民主党」は一昨日、国会の法制司法委員会で崔在亨(チェ・ジェヒョン)監査院長を集中的に攻め立てた。与党議員らは、月城(ウォルソン)原子力発電所1号機の早期閉鎖決定に対する監査院の監査で、崔院長が政府の脱原発政策を低く評価する発言をしたと批判した。政治的に偏っていることが判明したとして辞任を要求する声も上がった。

崔院長が国会答弁で説明したところによると、白雲揆(ペク・ウンギュ)前産業通算資源部長官が調査過程で「脱原発は大統領の大統領選挙公約に含まれており、国民の大多数が支持した事案」と発言したことを受け、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の大統領選での得票率は41%なのに国民の大多数と言えるのか」と返したという。与党は、崔院長の発言を「選挙不服」だと批判したが、これは文脈と意味を意図的に捻じ曲げたものだ。

7000億ウォンを投じて補修した月城1号機は、経済性評価で「稼働を継続すべき」だという結論が出たが、2018年6月の韓国水力原子力理事会で廃炉が決まった。監査院は、早期閉鎖の決定的な理由となった経済性評価が適切だったのか、外部からの圧力はなかったのかなどを調べている。この過程で、監査を受ける側が「国民の大多数が支持した」を決定の理由に挙げたが、崔院長は大統領選当選者の公約だからと言って、後先考えずに国民の大多数が支持していると断定するわけにはいかないと指摘したのだ。

監査院の月城1号機に対する監査は、国会の依頼で昨年10月から始まったが、法律で定めている監査期間(5ヵ月)を超えても結論を出せずにいる。崔院長と現政権下で任命された監査委員たちの意見が対立し、最終報告書の採択が何度も見合わせられた、との話も聞かれる。こうした状況下で、与党が崔院長を攻め立てているのは、監査結果が政府の脱原発政策基調に不利な結果が出るのを止めなければならないという危機感の現れと受け止められる。大統領府が空席となっている監査委員に政権寄りの人物を推薦したが、崔院長が政治的偏向を恐れて反対したのも、与党を刺激した模様だ。

監査院は大統領直属の機関だが、職務的には独立した憲法機関だ。監査院の独立性は、1987年の民主化以降、不可侵の領域として守られてきた。どの政権も監査院が政治的に不都合だとして監査院長を、これほどまで攻撃した例はない。与党は憲法精神を真っ向から違反し、民主主義の根幹を損ねる行為を中断すべきだ。