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新型コロナがなぜ米中対立の速度を高めるのか

新型コロナがなぜ米中対立の速度を高めるのか

Posted June. 17, 2020 08:46,   

Updated June. 17, 2020 08:46

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新型コロナウイルス感染症は、人類が直面した非常に珍しい生物安全保障災害である。中国と米国両国にとって共通の脅威であり、米中が協力してこそ、世界の人々と一緒に新型コロナウイルスに勝利できる。しかし、新型コロナウイルス以降、米中関係が悪化し続け、両国関係が「新冷戦」からわずか一歩しか離れていないようだ。

新型コロナウイルスは、米中関係をさらに悪化させている。ドナルド・トランプ米大統領政権以降、米国の「対中国政策発言システム」に歴史的後退が現れている。トランプ政府は強く、中国を「悪魔化」してきた。このような「中国悪魔化」は、トランプ政府と極右共和党勢力が見せてくれた、中国人としては理解しにくい、いわば「(中国にやられた)被害者コンプレックス」を表す。このコンプレックスは、3年余りの間トランプ政府の対中国政策の基本的な基調となった。新型コロナウイルスは元々、米中協力の機会だったのに、残念ながらトランプ政府は、いわゆる米国利益優先政策をさらに強力に進めながら、中国への高い対立感情を表出した。これは、中国を圧迫する主な手段になった。

まず、米国内での新型コロナウイルスの深刻な状況は、トランプ政府と米共和党右翼政治勢力が見せてきた反中被害者コンプレックスをさらにヒステリックに変化させた。トランプ政府は新型コロナウイルスを、中国をさらに圧迫し、政治、経済的に中国との関係を清算する機会とみなす。

第二に、新型コロナウイルスは、米国の中国に対する懸念を激化させた。トランプ政府が推進するデカップリング(関係断絶)方向の中国政策を強化させた。米国人は、新型コロナウイルスが中国に大きな機会の窓を開いたと思っている。中国が全世界への影響力をさらに強く求めて、米国の世界リーダーの地位を押し出そうとすると思っている。中国への科学技術戦争、貿易戦争、メディア戦争、さらには今後の金融戦争まで強化して、産業網、サプライチェーン、バリューチェーンを中国から抜き出すことは、中国の台頭を抑えることであり、米国の継続的な覇権優位性を維持することだと考えている。

第三に、新型コロナウイルスは、トランプ政府が自由自在に使う中国圧迫の政治的ツールになった。中国を圧迫すれば、米国が新型コロナウイルスの初期に見せた無能で効果の低い対応への米国人の恨みを中国に向けることができる。これだけでなく、トランプが「あなたたちは、中国人が嫌いでなければならない。中国人が今日、このような恐ろしい局面を作った」と言えるようになった。これは、すでにトランプ大統領の大統領選挙戦略において重要な部分になった。米国では、中国問題はすでにトランプ大統領によって完全に政治化された。最後に、新型コロナウイルスは、米国社会の反中、嫌中、中国に対する恐怖の感情を高め、トランプの中国圧迫政策は、米国内でより多くの支持を得ることになった。

今日、米国民の70%が「中国が新型コロナウイルス拡散に対して責任を取らなければならない」と思っている。新型コロナウイルスは、米国内のアジア系住民に対する人種主義差別と排斥を激化させた。多数の米国の政治エリートと国民が中国政策を見る見方は、新型コロナウイルスの影響を受けて、1950年代と似た「新マッカーシズム(政治的反対者を共産主義者と罵倒する態度)」に戻り始めている。理性的で穏やかな中国政策の声は、引き続きずっと押し出されている。

米中関係は、両国とも真剣で理性的な政策と策略、反省が必要な時点に達している。国際体制で、強大国の興亡盛衰は、多くの場合避けられない大国間の激しい権力競争と戦略的対立をもたらす。しかし、21世紀の今日、米中のいかなる「新冷戦」の先行きも、世界の安定と平和と繁栄を害するものである。さらに、北東アジア地域の経済発展に、災害のような衝撃をもたらすだろう。最近、米国のジミー・カーター、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、オバマ大統領が一緒に声を出して、トランプの対内外政策を厳しく批判した。そして米国政策の「災害的失敗」の源を反省するように要求した。同様に、中国政府も、新型コロナウイルス事態の過程で中国が見せた多くの問題の中で、政治経済改革を促進し、イメージ改善に拍車をかける未来の道を見つける必要がある。このようにする場合にのみ、中国と米国両国が引き続き世界の多数の国から理解と尊重を得ることになるだろう。