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[オピニオン]遺伝子操作で生まれた「3人のDNAを持つ赤ちゃん」

[オピニオン]遺伝子操作で生まれた「3人のDNAを持つ赤ちゃん」

Posted October. 19, 2016 07:36,   

Updated October. 19, 2016 07:51

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ヨルダン出身の米国人マフムド・ハサンさん夫妻は、遺伝性の神経系障害「リー症候群(Leigh syndrome)」でこれまで子供2人が出産後に死亡した。母親は元気だったが、子供は母親のミトコンドリアを通じて欠陥のある遺伝子を受け継いだ。ミトコンドリアは卵子を通じて遺伝する。夫妻は、卵子から核を抽出し、卵子提供者の卵子に移植して受精させ、元気な赤ちゃんを出産した。世界を驚かせた「3人のDNAを持つ赤ちゃん」の誕生だ。

◆遺伝子的に2母1父を持つ子供は、遺伝子操作時代の幕開けを告げるとともに倫理的論議を起こした。遺伝子操作は自然の摂理に反する行為であり、未来に予測できない破壊的結果をもたらすかもしれないという警告が出ている。施術を行ったジョン・ザン氏は、「生命を生かすことこそ倫理的にすべきこと」と正当化したが、米食品医薬品局(FDA)の許可を受けることができず施術はメキシコで行われた。

◆米オレゴン健康科学大学のシュークラト・ミタリポフ教授が訪韓し、「1年内に韓国で3人のDNAを持つ赤ちゃんが誕生できる」と明らかにした。ミタリポフ教授は2013年、卵子から核を除去して皮膚細胞を注入して6個のクローン胚を作り、同じ方法でサルの赤ちゃん7匹の出産に成功したことがある。ただし前提条件がある。韓国政府の許可が必要だ。「3人のDNAを持つ赤ちゃん」は技術的な問題ではなく規制の問題ということだ。倫理論議を突破して承認だけすれば、どこの国でも生まれることができる。

◆「DNAのはさみ」技術を利用すれば、DNAを離してつけることは容易い。生命体の革命に肩を並べるこの先端技術によって、動植物を対象に大きな成果が出ている。人間を実験の対象にするかどうかが最後の関門として残されている。英国が今年初め、DNAのはさみを利用したヒト胚のDNA改変研究を世界で初めて許可した。米国もがん患者を対象にした臨床実験を許可している。宗教界が倫理的理由で反対するだろうが、人間の欠陥を補完する遺伝子操作技術の巨大な流れを阻止することは難しそうだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員



정성희기자 チョン・ソンヒ記者 shchung@donga.com