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[オピニオン]トランプのキス

Posted May. 17, 2016 07:59,   

Updated May. 17, 2016 08:04

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1979年10月7日、東ドイツ政権樹立30年記念行事が開かれた東ベルリン。年配の2人の男性が情熱的なキスを交わした。それも多くの人の面前で。熱いキスの主人公は、旧ソ連のブレジネフ書記長と東ドイツのホーネッカー書記長。フリーカメラマンのレジス・ボスが撮ったこの瞬間は、「冷戦の現場」と社会主義の「堅固なカルテル」を象徴する記念碑的イメージとなった。

◆2人の権力者のキスは、1990年に東ベルリンで再び世界の注目を集めた。今度は、写真を描いた絵によってだ。ドイツは、ベルリンの壁崩壊を記念して、21ヵ国117人の芸術家を招待し、残った塀に壁画を描かせた。その時、ロシアのアーティスト、ドミトリー・ヴルーベリがキスの写真を壁画にし、「神よ、この死に至る愛の中で我を生き延びさせ給え」と書き込んだ。この壁画は、ベルリンの壁で最も有名な観光名所になった。

◆社会主義者は、3度抱擁して頬を寄せ合う挨拶が「兄弟の挨拶」と考える。理想を共有する、厚い友情の表れだというが、東方正教会の儀式が由来だとされる。最近、ブレジネフとホーネッカーのキスをパロディ化した壁画がリトアニアの首都のあるレストランの外壁に登場した。社会主義の理想とは程遠いドナルド・トランプ米共和党大統領選候補とロシアのプーチン大統領をカップルにしたのは興味深い。

◆トランプ氏とプーチン大統領は、自我過剰のうえに傍若無人、男性的虚勢を前面に出したマッチョなイメージという点では似ている。昨年末、プーチン大統領が、「とても闊達で才能ある人」とトランプ氏を賞賛すると、トランプ氏は「プーチン大統領が好きだ」と応えた。男性間の親密な関係を意味する「ブロマンス」という表現が出てくるほど、相性がいいようだ。ホーネッカーは1989年、東ドイツ政権樹立40年記念に訪れた旧ソ連のゴルバチョフ大統領ともキスしたが、開放要求に背を向けて11日後に追放され、ベルリンの壁も崩壊した。トランプ氏が当選すれば、止められない「男・男カップル」が果たして世界にどんな地震を起こすのだろうか。

高美錫(コ・ミソク)論説委員mskoh119@donga.com