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[オピニオン]ダイエットの悲劇

Posted November. 11, 2015 07:24,   

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歌手のアイユは、運動を並行しながらリンゴ1個とサツマイモ2個、たんぱく質飲料一杯で、一日を過ごす。「国民の初恋」と言われているスジの一食は、わずかサツマイモ1個、鳥胸肉少々、牛乳一杯だ。ネット上に出回っている芸能人のダイエット献立を見れば、果たしてこんなものを食べて、日常生活が可能かと疑いたくなるほどだ。スリムを取り越して、ガリガリの体を持つため、無理にダイエットをするのは、スターだけではない。

◆最近、経済協力開発機構(OECD)の「2015、健康報告書」によると、韓国の児童・青少年(5〜17歳)の過体重比率は、女子が14.1%、男子が26.4%であることが明らかになった。ほかの国の場合、男女間の格差がほとんどないのに、とりわけ韓国だけがOECD最高レベルの1.9倍の差を見せた。男子児童生徒より女子児童生徒の方が、体重調整の圧迫をそれだけ多く受けている証拠でもある。昨年、オンライン上での調査でも、女子児童生徒二人に一人が、ダイエットを試みたことがあると答えた。「女は何が何でも華奢できれいでなければならない」という容姿至上主義の情緒的プレッシャーが深刻だ。

◆正常体重なのに、自分は太っていると思う女子児童生徒が多いことが気になる。ダイエットの開始年齢も、小学生の低学年にまで徐々に下がっている傾向を見せている。成長期に無謀なダイエットをすれば、後日、骨粗しょう症や貧血など、重い病気にかかるのはもとより、うつ病などの心の病気までついてくる。問題はいくらこんなことを口にしても、ダイエットブームは下火にならないことだ。メディアを通じて、アイドルスターやモデルのような体型にあこがれるよう煽る大人たちの責任が大きい。

◆欧州ではいち早く、拒食症などの摂食障害を引き起こすダイエットを、社会問題とみなして、政府を挙げてファッション界に働きかけた。身長と体重との相関関係を測る体質量指数(BMI)というものがある。フランスは、BMIが18(身長が175センチに体重が56キロほど)以下のモデルを舞台に立たせば、6か月間の懲役刑まで下せる法案を可決させた。イタリアの場合、健康証明書を提出してこそ、舞台に立つことができる。体と心をむしばむ無謀なダイエットの悲劇を無くす国民「運動」でもしなければならないご時世とも言える。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com