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金第1書記の「華やか9月」シナリオ

Posted July. 15, 2013 03:38,   

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「親愛なる世界市民、同胞の皆さん。私は今日この席で、韓半島の非核化に対する私と北朝鮮人民の心からの思いを伝えようと思います。憲法に核保有国であることを明示しましたが、皆さんが望む韓半島の平和と安定に向けて、私は祖父と父の遺言を隣国との協力を通じて貫いていこうと思います」

北朝鮮の核問題解決に向けた6者協議の包括的合意である2005年の9・19共同声明採択8周年に合わせて、北京を訪れた金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記は、9月19日午後、中国の習近平国家主席との首脳会談直後の記者会見でこのように述べた。2009年のオバマ米大統領の就任以降空転していた6者協議の華やかな再開を伝える歴史的な瞬間だった。

金第1書記にとって初の訪中を成功的に終え、華やかに国際外交の舞台にデビューする場面でもあった。全世界が金第1書記に注目した。もはや米本土を核・ミサイルで攻撃すると言って人民軍の将軍を集めて米国の地図を指差した今年3月の彼ではなかった。金第1書記の本心に懐疑的だった米国も、不安に思った中国も安堵のため息をついた。

これに先立ち金第1書記は、韓国戦争終戦60周年の記念日である7月27日、CNNやBBCなど世界の有名メディアを平壌(ピョンヤン)に呼び、6者協議再開に向けた非核化事前措置を発表した。核・ミサイル発射実験の猶予とウラン濃縮の中止、国際原子力機関(IAEA)査察団の復帰など2・29合意を尊重するだけでなく、隠したウラン濃縮施設の公開するなど、いわゆる「プラス・アルファ」まで実践する用意があると宣言した。

続く8月、韓半島の南側に暖かい「北風」が吹き付けた。中断していた南北対話も順風に帆を上げた。開城(ケソン)工業団地の操業が再開され、8・15光復節を機に南北離散家族再会が4年ぶりに行われた。金剛山(クムガンサン)観光再開に向けた会談も始まった。人道支援団体が物資を載せて開城陸路から北朝鮮に向かった。

北朝鮮は、昨年11月にスパイ容疑で逮捕し、15年間の労働教化刑を言い渡した在米同胞ケネス・ペ氏を釈放した。米朝専門家対話が平壌とワシントンで開かれ、6者協議再開に向けた両国当局間の実務接触がアジアと欧州の第3国で開かれた。2・29合意破棄から18ヵ月が経って米朝が膝を突き合わせたのだ。

金第1書記の前向きな態度に、オバマ政府も長年の「戦略的忍耐」から脱した。オバマ大統領は、「中国に迫って北朝鮮を変化させる」という政策が成功したことを誇った。「対話派」のケリー国務長官も思い通りにならない中東平和会談とシリア、エジプト事態を後に回し、北朝鮮問題に集中した。北朝鮮との対話は、来年の議会選挙での民主党の好材料となった。

米中両国が10〜11日、ワシントンで戦略対話を行い、北朝鮮の非核化を共同宣言する直前、北朝鮮が「7・27全勝記念節」に合わせて西側メディアを平壌に招き、金成男(キム・ソンナム)労働党国際部副部長が中国を訪問するなど、「不可思議な」動きをめぐって、ワシントンの一部の韓米専門家たちと作成した「皆が願う」最善のシナリオだ。

むろん、このシナリオが現実になる可能性は極めて懐疑的だ。金第1書記は、米国など国際社会との対話を通じて非核化議論を進展させて南北関係を改善することは、当面の至上課題である「3代世襲体制の強化」には役立たないと考えていることだろう。むしろ挑発と対外的緊張づくりが容易で確実な方法だと信じているかもしれない。

昨年12月、ソウルを離れる前、李明博(イ・ミョンバク)政府5年間の南北関係の本を書き、このような論拠で北朝鮮が韓国新政府5年間、オバマ政府2期4年間、真摯な態度で南北、米朝対話に出てこないと見通した。しかし、これが誤った予測なら、どれほど良いだろうか。韓半島の平和と安定、8000万民族の生存と繁栄のためになる。