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[オピニオン] 「ノキアの没落はフィンランドの祝福」

[オピニオン] 「ノキアの没落はフィンランドの祝福」

Posted February. 08, 2013 08:57,   

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フィンランドでは誰に聞いてもノキアについて一言聞くことができる。わが国で三星(サムスン)について誰もが一言できるのと同じだ。人口540万人の小さい国を「携帯電話の王国」という自負心に満たせたノキアはもうない。00年、国内総生産(GDP)の4%を占めた企業規模が今は1%へ目減りした。1998年世界1位の携帯電話会社に輝いて以来、フィンランド経済の3分の1を支えていた「国民企業」が、07年、アップルのアイフォン登場以後、底なしに墜落した。1位の呪い、変化にそっぽを向けた傲慢、コンセンサスに頼って逃したスピード経営…。愛憎の言葉は多い。その中で、「ノキアの没落がこの国で起きた最も良いことだ」という言葉が最近流行っていると、英エコノミスト紙が伝えた。

◆ノキア出身が創業した申請企業が300社を越えた。ノキアの墜落が逆にフィンランドのベンチャー生態系に変革をもたらした。ノキアのような大企業に就業することを望んでいた大学生らは今は創業を「クール」に考える。03年、ヘルシンキ技術大学の学生3人が創業して09年アングリー・バードゲームをヒットさせたロビオは、創業を夢見る若者のロールモデルになった。厳しい気候や貧弱な資源のため、ヒトとハイテクに投資した国、ところで国の規模に比べて過度に大きかったノキアによって思う存分発揮できなかった国民の潜在力が遅れて爆発したわけだ。

◆ノキアが縮小したとは言え、フィンランドは相変わらず国民所得4万5500ドルに反腐敗1位、グローバル競争力3位の先進国だ。国の負債はユーロゾーンの半分に過ぎないほど財政もしっかりしている。政府はノキアの危機を目にしてから、08年、大学を根っこから揺るがす革新に乗り出した。あの時に設立したアールト大学の学生は「創業の夏」行事を開くなど、創業ブームを拡散させた。サウナの国らしく、「創業サウナ」という名の民官創業資源地区、有望なベンチャーを支援する技術革新投資庁(TEKES)を立てて、資金から経営まで体系的に下支えした。大きな政府でも、強い政府でもない「仕事をうまくする政府」が祝福を創り出したのだ。

◆「北欧州モデル」を羨む人々はわが国にも多い。特に、普遍的福祉モデルを善に考える集団が「福祉を増やしてこそ先進国になる」「北欧州は危機にも福祉を減らさない」と声を高める。しかし、北欧州は福祉国家になる先にお金持ちの国になったのは歴史が証明する。1990年代経済危機を経験しながら、「さらに納めてさらにもらう」というふうな福祉モデルは作動できないというのも既に経験した。フィンランドのベンチャーモデルの教訓も「大企業が滅びてこそベンチャーが成長する」と解釈しては困る。個々人が能力を発揮できるように支援する政府なら、わが国も革新国家になれる。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com