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[オピニオン]オレ道の散策

Posted July. 25, 2012 05:36,   

済州島(チェジュド)の言葉で「オレ」とは、自宅前から町の公道まで続く小路を意味する。スペインのサンチアゴ巡礼道に目をつけ、済州島の徒歩旅行コースを作ったのがほかならぬオレ道だ。「寸断された道をつなぎ、忘れられていた道を探し出し、なくなった道を呼び戻して」作った25のコースが、海や山、野原、オルム(寄生火山)、コッザワル(北限・南限の植物が共存する森)町の石壁の道に沿って歩きながら、済州の神秘に酔い浸る。オレは、「済州に来る?(オレ)」という招きの意味も含まれている。年間100万人を優に超える人たちが、思い出や安らぎ、癒しを求めて、オレ道を歩く。

◆オレ道は、全国的にウォーキングのブームを引き起こした。智異(チリ)山トゥレ道、江華島(カンファド)トゥレ道、ソウル城郭道、蔚山(ウルサン)オウル道、無等山(ムドゥンサン)旧道が次々と生まれた。「見つけ出した道」の中に「作った道」が加わることになり、自然美や生態系を毀損させたという指摘も相次いだ。出版業界では、「ウォーキング」を称える本が次々と発売された。ネット上の本屋「イエス24」で「ウォーキング」を検索すれば、131種の本が出てくる。そのうち、100種がオレ道の第1コースがオープンとなった07年9月以降に発売されたものだ。最近、レジャー・スポーツメーカ各社は、不恰好な登山服や登山靴の代わりに、ウォーキングやトレッキングに適した衣類や靴を主力商品として発売している。

◆徒歩で世界を一周したフランス人生物学者、イブ・パカレは、「我々の知性は、我々の歩みが孕んだ子供だ」と書いた。イエスや釈迦無二も、絶えず歩きながら悟り、教えた。アリストテレスはウォーキングが好きでなかったが、「逍遙学派」は足跡を残すことができなかっただろう。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズは、重要な決定を控えていた時は、散歩道で考えを整理した。「ウォーキングの称え」を書いたダヴィド・ル・ブルトンは、「ウォーキングは世界を感じる官能への招待だ」と主張した。

◆一人でオレ道を歩いていた女性が、悲惨な形で殺された。事件が発生したコースは一時、閉鎖された。夏休みシーズンなのに、オレ道を訪れた旅行客が大幅に減っている。社団法人「済州オレ」がいくつかの安全ルールを示している。一人の旅行者は、各コースの出発時間を午前9時に合わせて一緒に歩く。夏シーズンは6時、冬シーズンは5時以降はウォーキングを自粛する。一人で歩く時は、頻繁に自分の居場所を知人に知らせる…。「3人が一緒に歩けば必ず師匠がいる」(三人行必有我師)という言葉もあるように、複数の人が一緒に歩けば、安全なオレ道となり、景色を楽しみながら、人生の知恵も学ぶことができるだろう。

李亨三(イ・ヒョンサム)論説委員 hans@donga.com