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北朝鮮のロケットは「数十億のドル箱」

Posted March. 20, 2012 08:29,   

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北朝鮮が98年8月に、人工衛星にかこつけてミサイル「テポドン1号」を発射してから約2年が経過した00年11月6日。米国の大統領選挙の前日に、北朝鮮は米国と中・長距離ミサイル計画を凍結し、最終的に廃棄することを同意した。その見返りに、北朝鮮は米国に3年間毎年10億ドルの支援を要求し、米国も肯定的に応じた。最終交渉に向けて、金正日(キム・ジョンイル)総書記はクリントン大統領を平壌(ピョンヤン)に招待した。しかし、当時、大統領に当選したブッシュ氏は、クリントン大統領の訪朝を阻止した。

来月「光明星(クァンミョンソン)3号」を打ち上げると発表した北朝鮮の意図をめぐって、内部結束用であるとか、政権委譲期の権力機関間の不協和音に重点を置く専門家が多い。一理あるが、それだけでは半月前の先月29日に米国から約束を取りつけた数億ドルにのぼる24万トンの栄養補助食品の提供を振り切った北朝鮮の内心を明快に説明することはできない。

北朝鮮事情に詳しい消息筋は20日、「光明星3号の打ち上げは、北朝鮮特有の瀬戸際戦術に基づいた高度な対米政策の一環だ」とし、「北朝鮮にとって光明星3号は、数十億ドル以上の価値を持つ交渉カードだ」と説明した。すなわち、ミサイル開発を加速化すれば、米国は交渉に応じざるを得ず、00年とは比較にならないほどの莫大な見返りを米国から受けることができるという計算をしているということだ。

00年、北朝鮮は射程距離がわずか1600キロメートルの「テポドン1号」を交渉のテーブルに載せ、30億ドルをほぼ手に入れるところだった。09年4月に打ち上げた「テポドン2号」は、3200キロメートルまで飛来した。06年と09年に2度核実験を行い、核兵器保有の可能性を証明した。核とミサイルは馬と馬車の関係だ。

にもかかわらず、米国には北朝鮮の計画を阻止するだけの手段がない。米国が北朝鮮への制裁を選択した場合、北朝鮮はこれ見よがしに光明星4号と5号を打ち上げ、ミサイルの性能を大幅に改善する可能性が高い。北朝鮮は、米国は交渉に出ざるを得ないと判断し、金正恩(キム・ジョンウン)体制の運命を左右する莫大な見返りを狙った瀬戸際戦術を駆使しているということだ。



zsh75@donga.com