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[オピニオン]羊角島ホテルの5階の秘密

[オピニオン]羊角島ホテルの5階の秘密

Posted September. 17, 2011 03:03,   

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07年3月、平壌(ピョンヤン)で開かれた南北閣僚級会談の共同取材団のメンバーとして平壌を訪問した記者は、会場だった高麗(コリョ)ホテルで、予期せぬ経験をした。明け方まで続いた会議を取材していたところ、夜食としてインスタントラーメンと作ろうしたが、お湯がなくなったことに気がついた。1分ほど過ぎただろうか。注文もしていないのに、北朝鮮の接待員(ガイド)2人が、お湯を持ってドアを開けた。やさしい笑みを浮かべていたが、「あなたたちがどんな話をしていたのか全て聞いている」という表情だった。「プレスルーム」として使っていた2階の会議室に掲げられていた金日成(キム・イルソン)−金正日(キム・ジョンイル)親子の肖像画の後ろに、何かが隠されているように気がした。

◆北朝鮮で行われる南北会談の舞台裏では、盗聴しようとする側と、セキュリティを守ろうとする側との間で、激しい神経戦が繰り広げられる。韓国側代表団は、会話の内容を盗み聞きすることができないよう、ソウルから秘話機を携帯して使うのはもとより、盗聴を防げる特殊装備を、いくつも設置する。話し合いの場合も、予め決めておいた隠語を使う。古典的な手法だが、日常的な会話が難しいほど、大きく音楽を流す場合もある。一種の音によるかく乱だ。文書破砕機を使うこともあるが、基本的には鼻をかんだ紙一枚すら残さないのが原則だ。

◆大洞江(テドンガン)川辺にある羊角島(ヤンガクド)ホテル5階の秘密が公開され、話題となっている。47階建てのホテルだが、エレベーターには5階の押すボタンがおらず、4階の次は6階に止まる。中国系米国人カルビン・サン氏は先月、北朝鮮を訪問し、同僚の観光客5人と一緒に、羊角島ホテルの5階に潜入して目撃した内容を、ブログ(monsoondiaries.com)に掲載した。明かりが消えて暗くなった壁面には、「ヤマイヌの米帝を、千百倍に復讐しよう」、「我が将軍様が最高だ」と書かれた大型宣伝ポスターが掲げてあった。ドアの開けていた部屋には、机一つと盗聴装置と見られる機器が置かれていた。

◆客室1001個のこの特急ホテルには、北朝鮮住民の知らない秘密がさらに多い。ホテルの最上階の回転展望台では、一部の特権層が一本の価格が100ドルを超えるバレンタイン17年産ウィスキーを飲む。韓国側の関係者らと会えば、「共和国」の優越性について、口がすっぱくなるほど熱弁をふるう保衛部の職員らは、1時間に40ドルを払い、マッサージを受ける。北朝鮮労働者の1ヵ月平均賃金は2ドルほどだ。このような体制を、人民共和国であり、地上楽園だと宣伝するのがほかならぬ金日成王朝だ。

ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com