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[オピニオン]小説家・金英夏氏の絶筆宣言

[オピニオン]小説家・金英夏氏の絶筆宣言

Posted February. 16, 2011 07:59,   

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小説家の金英夏(キム・ヨンハ)氏が一昨日、ブログとツイッターに書き込みの掲載中断を宣言した。発端となったのは、ハンギョレ新聞が先月28日死亡した32歳のシナリオ作家、チェ・ゴウン氏が飢え死にしたかのように報道したことだった。「今の時代に若い人が飢え死にするというのか」という反応もあったが、チェ氏の死を社会的他殺と見る雰囲気が形成された。作家と評論家の間では、芸術家の生計は誰が責任を負うのかという議論が巻き起こった。金氏は芸術家本人の責任と主張し、非難を浴びせられ、絶筆を決心した。

◆チェ氏が韓国総合芸術学校に通っていた時代、同校の教授だった金氏は、チェ氏の死が餓死ではなかったと主張した。「本当に多くの人がチェ氏が飢え死したと信じていることに驚いた」とし、「直接的な死因は栄養失調ではなく、甲状腺機能亢進症とその合併症による発作だったと、故人の最後を収拾した友だちから聞いた」と話した。金氏は、「チェ氏は才能のある作家で、愚かで無責任に自尊心だけで死亡した無能な作家ではなかった」と付け加えた。

◆チェ氏の死因を巡り食い違った解釈の中で、一部長官と国会議員の反応を振り返ると、苦笑を隠せない。鄭柄国(チョン・ビョングク)文化体育観光部長官は、芸術家への処遇を改善するという約束で過剰反応した。李在五(イ・ジェオ)特任長官は、チェ氏が残したという書き込みを引用し、「あそこには、残飯とキムチが足りなくないですか」という哀悼文をツイッターに掲載した。インターネットメディアは大騒ぎだった。チェ氏の死を最初に報道した新聞は、チェ氏が死び間際に「残飯」でもほしい、というメモを残したと報じたが、後から公開されたチェ氏のメモには「残飯」という表現はなかった。

◆作家は偽りと戦う人間だ。普通の人間が簡単に真実だと、又は正しいと信じ込むことまでを疑う時に始めて、作家になれる。金英夏氏はこう話した。「チェ氏を芸術の殉教者に作るのも、アルバイトもしなかった無責任な芸術家に作るのも、我々皆が避けるべき両極端だ」「自らが弱者だったり、アウトサイダーなので、どのような言葉も容認されるという発想は危険だ」。ネットユーザーに向かって、これぐらいでも正しいことを言う作家が最近どうして見かけ難くなったのか分からない。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com