Go to contents

[オピニオン]ポスト石油時代への備え

Posted June. 08, 2010 07:35,   

한국어

米地球物理学者のマリオン・キング・ハバート博士は1956年、不吉な予言を一つ発表した。氏は、石油埋蔵量の試算値と石油生産の分析についての研究を基に、米国内の石油生産量がピークに達する時期は、1966年〜1972年になると予測した。その後は、基本的な石油埋蔵量の不足により、日増しに生産は減少すると見込んだ。1973年に起きた第1次オイルショックとあいまって、その予言は鳥肌が立つほど当たったが、彼はすぐさま忘れ去られてしまった。石油会社各社は、米国外に目を向け、海底ボーリングなどで、地道に石油を供給したためだ。

◆ハバートとは異なり、マサチューセッツ工科大学(MIT)教授を歴任したピーター・ヒューバーは、「人は、エネルギーを多く使えば使うほど、より多くのエネルギーを生産できる」と主張した。石油エネルギー源が頭打ちになっても、人類はほかのエネルギー源を必ず、創出できるという見解だ。石油開発機構(OPEC)を立ち上げたサウジアラビアのシェイク・ヤマニも、このような楽観論者の一人だ。氏は、「石器時代は石が足りなかったために、終焉を告げたわけではない。いつか、石油時代も幕を閉じることになるだろう。しかし、石油不足のせいではないだろう」と語った。

◆最近、発生したメキシコ湾での原油流出事故をきっかけに、今後、深海での石油生産は難しくなるだろうという不安が広まり、ハバート博士の「ピークオイル(Peak Oil)理論」が再び関心を集めていると、米紙ニューヨークタイムズが報じた。今こそ、石油供給はピークに達しているという「石油終末論」である。これまで、石油会社各社は、地上での大規模な油田開発が壁にぶつかると、先端技術を持ち出し、深海油田の探しに目を向けた。今回、事故を起こした石油会社「BP」も、深海での探査中、ボーリング穴に誤って触れた。極地や海底の油田探査は、それほど難しいという意味だ。

◆今回の事故が、石油供給の楽観論に警鐘を鳴らし、米国では、「石油終末の中で生き延びる方法」などの本が、15万冊以上売られ、石油の枯渇に対処する方法を教える会合も活発に開かれているという。非常食を備蓄し、金への投資など、石油不足の災害に見舞われた後の生活に関し、アドバイスを行う会社も登場した。今回の事故は、「ポスト石油時代」への備えを遅らせてはならない理由を示すのに十分だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com