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美しすぎて不幸な彼女 金基徳氏原案の映画『美しい』

美しすぎて不幸な彼女 金基徳氏原案の映画『美しい』

Posted February. 06, 2008 03:09,   

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美女はやはりつらい。喫茶店に座っているだけで、「タレントさんですよね?」と言われてサインをせがまれ、男性からの求愛とプレゼント攻勢が絶えず、美人のウンヨン(チャ・スヨン扮す)は不幸だ。男性たちは彼女を煩わせ、女性たちは彼女に嫉妬する。ある日、ウンヨンはストーカーに暴行される。彼女は言う。「美しすぎたためだ」。ショックで自分を破壊するウンヨンを見守る警察官のウンチォル(イ・チョンヒ扮す)は、ウンヨンのことを好きになる。

14日に上映される『美しい』は、金基徳(キム・ギトク)監督が原案を書き、彼の助監督出身のチョン・ジェホン監督がシナリオと演出を担当した。初の長編デビュー作で、今年のベルリン映画祭パノラマ部門の招待作だ。チョン監督には当分「リトル金基徳」という形容詞がつきまといそうだ。話そのものが「金基徳風」でもあるが、荒々しく極端なシーンで、韓国の倫理と価値観に問題を提起する演出方法も師匠に似ている。

映画は『美女はつらいよ』を逆にした残酷バージョンだ。『美女…』の主人公ハンナが全身整形で美人になり、その美しさを楽しんだなら、『美しい』のウンヨンは、美しさのために自分を虐待する。初めはたくさん食べて太ろうとしたが、うまくいかず、次に食べずにやせ細ろうとした。現実の世界で、過食症と拒食症は美しくなろうと努力して生じたケースの結果が多い。しかし映画では、逆に美しくならないための努力の結果だ。皆がきれいになろうとあがく世の中で、一人醜くなろうとするウンヨンの姿は、時にはこっけいに感じられるほど稀なケースだ。

依然として男たちは『美女…』のようにきれいな女性に親切で、大騒ぎするのだが、ウンヨンを暴行したストーカーが撮影したビデオを一人で見た刑事までが、「強姦する奴が悪いのか。いや、こんな体をもっていることが罪なのだ」とつぶやく。ウンヨンを本当に愛していたかのように見えたウンチョルも、「美を所有したい」という男性的欲望の奴隷になり、本質的にはストーカーとあまり大差ないように変貌していく。

映画は、「女性は被害者で男性は加害者」として始まり、最後にはすべての登場人物が、人間が崇拝する「美しさ」のために、自分と他人を破滅させるのだということを描き出す。もちろん誇張法だ。きれいなら生きやすい外見至上主義の社会の現実を皮肉る想像を極端まで進める。その終りは、考えたくないほどゾッとするものだ。青少年観覧不可。



yourcat@donga.com