世俗的な都会人が、思ってもいなかった田舎での生活を通じて、「魂の浄化」へと結実するという内容は、「定番」のコメディー映画でよく使われる題材だ。
昨年、観客動員に成功した「家へ…」がソウル育ちのずる賢い孫と田舎で暮らす祖母の交感に焦点を当てていたとすれば、28日に封切られる「先生 金ボンドゥ」はソウル出身の世俗的な教師と田舎の純粋な子どもたちとの交感を通じて、笑いと感動の「二兎」を得ようとするコメディー映画だ。
「先生 金ボンドゥ」はディテールやキャラクターは弱いが、よくもらい泣きする人なら、後悔はしないだろう。
金ボンドゥ(チャ・スンウォン扮)は生徒の親にカネを要求したことが問題になって江原道(カンウォンド)の田舎の分校に転勤させられた小学校教師。生徒が5人しかいなくてカネをくれる親もいない分校に失望し、落ち込む。
ソウルに戻る方法を考えていたボンドゥは付けを取りに来たソウルの飲み屋の従業員が投げた一言(「生徒がいなくなったら閉校になるんじゃない」)にヒントを得て、生徒を転校させて学校をなくす計画を立てる。
無理に笑みをつくって二重人格の先生を演じる表情や、暇つぶしに一人多役で花札をする場面を見ていると、チャ・スンウォンのコメディー演技もすっかり板についたような気がする。
一方、金ボンドゥ以外の他の登場人物のキャラクターはあまり具体化されていない。ボンドゥの父親は学校で手伝いとか色々な世話をする職員だったが、ボンドゥが赴任した分校にも同じ仕事をする無口な職員チュンシク(ソン・ジル扮)がいる。
二人が車2台も通れない狭い道路で、それぞれ乗用車と耕運機を運転して遭遇する序盤の場面は、二人の関係に何かあるように思わせるが、チュンシクには何の役割も与えられていない。
キャラクターとドラマがしっかりしていないために出てくる、ボンドゥの田舎でのエピソードも多少つまらない感じがする。
涙を通じて感動を「誘導」しているこの映画の戦略は、最後の卒業式の場面に至っては度が過ぎている。
制作会社の「チョウン・ヨンファ(良い映画の意味)」は一般観客を招待した試写会で「最近の小学校の卒業式ではあまり泣かない」と指摘され、卒業式の場面を大幅に削除して公開することにしたという。
監督は「面白い映画」でデビューしたチャン・ギュソン。12歳以上観覧可。
金熹暻 susanna@donga.com