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パリから見た韓国大学の仏文科の消滅

Posted May. 13, 2024 08:45,   

Updated May. 13, 2024 08:45

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最近、フランスのパリでは中国の国策研究院である中国社会科学院が初めて学会を開き、注目を集めた。中国の習近平国家主席がフランスとの国交樹立60年を記念して国賓訪問する前に、両国の友好を深めるためだった。出席者たちは、中国がパリの中心でこのようなイベントを開催したことに驚いたという。フランスをはじめとする欧州諸国は、中国の「過剰生産」を問題視し、輸入障壁を高めていたからだ。

冷え切った両国関係に温かな風を吹き込む学会は、両国の言語学者による。中国社会科学院とともに学会を準備したフランスの国立東洋言語文化大学には中国の専門家が多かった。白髪の元老学者から30、40代の若い博士課程の学生まで、さまざまな世代が登壇した。1970、80年代に北京でフランス語を教えたという一人の女性学者は、発表で中国の激変期を見守った感想と愛情を語った。もう一人のフランス人中国学者は、「私たちは協力に開かれている」と強い交流意欲を示した。フランスと中国の間で紛争が起こると、メディアや政府に建設的なアドバイスをする人たちだ。

この現場を見て、最近、韓国で仏語仏文科をはじめとする外国語文学科がなくなるというニュースを聞いて、残念に思った。これらの学科で養成される学者が、韓国と欧州の距離を縮める民間外交官の役割を果たすからだ。特に徳成(トクソン)女子大学は来年度から異例の仏語仏文科と独語独文学科を同時に廃止することになった。このような現象はどんどん広がっている。すでに2009年に東国(トングク)大学が独語独文学科を閉鎖した。05年には建国(コングク)大学が独語独文学・仏語仏文学科を「EU(欧州連合)文化情報学科」に統合した。

一部の大学でこのような現象が起こるからといって、この分野の学者が輩出しないわけではない。しかし、学生が深く勉強する場所が減るので、他の人気学問に比べて希少化したり消滅したりする可能性が高くなる。

このような学者は、単に語学だけを研究しているわけではない。ドイツやフランスを隅々まで把握している地域専門家でもある。韓国政府が、ドイツやフランスと紛争に巻き込まれた時、相手国の視点から良い解決策を探す。この地域に進出する企業にとっては、地域に対する理解を助け、市場開拓の尖兵となる。

さらに、貿易紛争やサプライチェーンの危機など、大きな世界的な懸案事項は、過去よりも様々な地域の問題が絡み合って複雑化している。これを解決するには、様々な地域に対する深い理解がより必要になっている。韓国から遠く離れた地域の研究から創造的な代案が導き出されることもある。しかし、韓国の学界はこのような流れに逆行している。最近、取材中に会った韓国のある私立大学の学長は、大学が教授の任用や学術研究で英米圏に過度に依存しすぎて多様性が不足していることを反省していると打ち明けた。

非人気学科を構造調整する大学も悩みが多いだろう。学齢人口が減り、大学財政が縮小する中、このような学科は需要がほとんどなく、金にならないからだ。しかし、大学は需要に合わせて人材を供給しながら、枯渇する需要を創出する役割も果たさなければならない。むろん、このような大学が学問の多様性を維持できるよう、政府も支援を惜しんではならない。

欧州は韓国学者との交流を増やそうとしている。韓流の台頭で韓国学への関心が高まっていることに加え、中国との通商摩擦で中国の代替販路となる韓国の専門家を育てたいと考えている。今こそ、欧州との交流の条件が整っている時といえる。韓国の学界がより広い視野と長い呼吸で欧州に近づく良い機会を逃さないでほしい。