Go to contents

「財政健全基調に転換」をうたった政府、言葉と行動が別々であってはならない

「財政健全基調に転換」をうたった政府、言葉と行動が別々であってはならない

Posted July. 04, 2022 09:16,   

Updated July. 04, 2022 09:16

한국어

政府は今週中に財政戦略会議を開き、拡張一辺倒だった財政運用基調を「健全性強化」に切り替えることにした。前政権で415兆5000億ウォンも増加し、1000兆ウォンを超えた国家債務が急激に増えないよう財政を管理するという。任期末まで毎年、財政収支や国家債務管理の目標も具体的な数字で提示する予定だ。

前政権の初期は36%だった国家債務の対GDP(国内総生産)比率は、今年50%に迫り、財政拡張傾向が続けば、現政権末の2026年には69.7%に達する見通しだ。新型コロナに対応しながら急増した借金を減らすために、米国や英国、日本など主要7ヵ国(G7)は全て昨年から支出を減らす方向に転じたことを考慮すれば、韓国の対応は遅い方だ。今年3月の大統領選挙や6月の地方選挙を控え、政界が財政支出の拡大をあおったためだ。

グローバル格付け会社各社は、韓国の早い国の負債の増加速度に注視している。通貨危機やグローバル金融危機の際、最後の砦の役割を果たした財政がさらに悪化すれば、国の格付けが下落しかねないという意味だ。厳格に法で強制する財政準則が、今の政府で必ず導入されなければならない理由だ。経済協力開発機構(OECD)加盟先進国のうち、財政準則のない国は韓国とトルコだけで、ドイツなどは憲法で財政準則を定めている。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も大統領選候補時代に、「任期1年以内に財政準則を設ける」と約束した。しかし、財政準則の導入には政界の協力が必要だ。前政権でも、企画財政部が2025年の施行を目標に財政準則案を国会に提出したが、与野党は関心を示さなかった。基準がずさんで、法ではなく施行令で定め、「形ばかり」という批判を受ける案だったにもかかわらず、選挙を控えた政界が財政支出を増やすことを妨害する足かせになると見たためだ。

さらに大きな問題は、政府が言葉では予算膨張や国の借金増加を心配しながら、他方では硬直性支出を増やしているという点だ。血税浪費を理由に、前政権の「税金働き口」事業を半分に縮小し、財政を浪費する公企業を構造調整するとしながら、新政府の大統領選挙公約である基礎年金や兵士の月給引き上げは、全て計画通り推進するということはつじつまが合わない。ポピュリズム的財政支出競争の悪循環を断ち切るためには、政府が先に自分に甘く他人に厳しい陣営論理を脱ぎ捨てなければならない。